変なおじさん

住んでいるマンションに変なおじさんがいる。最初は何かの勘違いかと思ったのだが、やはり変なおじさんだった。

歳は50代か60代か。見た目は、白髪交じりでやや長めの髪、背が高く痩せていて、常にスーツを着ている。スーツだけれど、ワイシャツは黄ばんでいて、なんだか全体的に小汚い感じだ。

中学一年の時に通っていた学習塾の先生を思い出す。フケだらけの肩、べたついた髪。あの人もスーツだったけれどおそらく風呂に入っていなかったのだろう。夏場は臭くて、気づかれないように通り過ぎた後を狙って、生徒たちは背中に向けて制汗剤を振りまいていた。あまりに臭かったので塾長に苦情を言うと、いつの間にか女性の若い先生に代わった。

同じマンションの変なおじさんは、常に小声でぶつぶつ何か言っている。電車でたまに見る小声で何かを言っている人と違って、このおじさんはこちらに対して何かを言っているのがわかる。この前、何を言っているのかを聞き取ってみようと思ったら「クズめ」と言っていた。

それから、武器のように傘を持っている。傘と地面が平行になるように持っているので、子供と一緒にいるこちらとしては非常に危なく思う。しかもこちらのことをクズだと言っているわけだからめちゃくちゃ怖い。私は子供を背に回して守るような体勢を取る。

このおじさんは15階に住んでいる。一つしかないエレベーターにこのおじさんと一緒に乗るのが嫌なので、おじさんが行ってから乗ろうと、ポストの中を探るふりをして待っていると、15階で2分くらい止まって全く降りてこない。やっと動いたと思ったら、14階、13階、12階、11階と、全階で止まってから1階まで降りてきた。つまり15階で降りるときに開くボタンを長押しして、かつすべてのボタンを押すという嫌がらせをしたわけである。ボタンを長押ししている間はおじさんもその場から動けないわけだから身を削った嫌がらせではあるが、クズである。クズだなあ。


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