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UXデザインを学びに行ったら、UXデザインは「魔法の杖」ではない事を知りました。

日頃仕事で「ユーザー体験(UX)をきちんと考えないと!」なんて話を知ったふうにお客さんにしていますが、いつも付け焼刃の知識で誤魔化しているので、UX Designについてきちんと体系的に学びたく学校に通う事に。
Xデザイン学校:https://www.xdesign-lab.com/

月に1回、全10回で2020年の2月までのコースなので、学んだ事の中で気になったポイントに絞ってnoteにまとめていきたいと思います。

Xデザイン学校ベーシックコース 10 / 2020年2月22日(土)

2019年の5月から始まったXデザイン学校のベーシックコースがついに最終回。1年間を通して学んだ様々な考え方、手法を駆使して一つのサービスを企画し、プレゼンしてきました。

チームメンバーみんなが寝る時間を削ってぎりぎりまで頑張ったのに、当日はコロナウィルスの影響によりまさかのクライアント企業不在…。その知らせを聞いた瞬間のチームメンバーの落胆ぶりは凄かった。「おぉぉ…。あなたの事だけを四六時中考え続けて書いたこのメッセージ、どこに向かって話せばいいの(涙)」

それでも「クライアント企業にぜひ聞いて貰いたかった!」と思えるところまでサービスを練ってプレゼンの準備が出来たのは本当に良いチームメンバーに恵まれたからで、とても感謝しています。

1年間を通して沢山の事を学んだので、最後に何を書いた方が良いのかよく分からないのですが、1年後にこのnoteを読み返した自分が「あっ、そうだったな!」と思えるような、忘れちゃいけない大切な学び、気づきについて書き残しておきたいと思います。

UXデザインがやろうとしていること

UXデザインでやろうとしている事は、基本的にこの図(ダブルダイヤモンド)にギュッと詰まっています。

▼正しい課題を見つける
「正しい課題」って何なの?という感じだけど、一つの問題が見つかった時に、それがある程度の普遍性を持った課題なのか?(剣持貴志という個人だけの問題は企業が解決するのに値しない)を考えます。

そして、「探索」の手法としてエスノグラフィや行動観察、インタビューなどがあり「収束」の手法としてKJ法、KA法、上位下位分析などがある。

▼正しい解決策を見つける
「正しい解決策」とは、黄色のステップで見つけた「課題」を解決する為のアイデアの中で「どのアイデアが様々な条件を加味した上で最適か?」を判断すること。

「展開」の際にどうやってアイデアを出すのか?どうやって自分が持ってしまっている「常識や、思い込み」を外すのか?についてはXデザイン学校ではあまり触れられておらず、自分でもっと深堀りして勉強する必要を感じます。この辺の話。

また「提供(絞り込み)」も難しい。現状自分が理解している絞り込む際のチェック項目は以下の通りだけど、

・ユーザーインサイトに基づいて問題解決ができているか?
・企業のビジョン、方向性に合致しているか?(その企業がやるべきか)
・実現可能か?コストとスケジュールは?
・社会的なニーズがあるか?社会動向、プロダクトマーケットフィット
・参入障壁は?技術的優位性は?簡単にパクられない?

企業の持つ特殊な技術の応用、例えば「富士フィルムのフィルムを作る技術が、化粧品の製造などにも応用できるのでは?」という発想は、化学の知識の無い自分には難しい。

何も持ってないベンチャー企業が「0→1」でサービスを考えるならかなり自由に「課題発見」できるけど、既に存在する大企業の場合

「そもそもこの課題はこの企業が取り組みベき事なのか?」
「新しいサービスを作ったら既存のサービスがいらなくなるけどどうするの?」


みたいな、イノベーションに伴う「破壊」がその企業自体に及ばない様なアイデアを考える、という凄く難易度が高い課題になる、という事も1年間を通して学んだ大事なところ。

このあたりは、いかに上手くビジネスインタビューを行い「企業の正のアセット、負のアセット」を正しく理解するのか?がポイントになるんだと思うけど、一筋縄ではいかない感じがしている。

「魔法の杖」ではない話

「UXデザインって何なのか?」何も分からずXデザインの学校に飛び込んで1年間、いろんな事を学びながら考え続け「なるほどな!」と理解できたところと「これは??」と感じた部分がある。そして「これは??」と感じた部分ついて nendoの佐藤さん が話している動画があったので紹介したい。

▼動画より一部書き起こし
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それの第一歩として、クリエーティブシンキングやデザイン思考が一時流行ったような気はするんですけれども、あれは入り口の部分としてはすごく正解だなという気はしていまして、不特定多数の人たちが、常に安定して60点から70点をたたき出すためのシステムだと僕は思っています。
(中略)
簡単に言うとイノベーションだと思うんですけれども、そういったブレークスルーをクリエーティブで起こす上においてはたぶん、デザイン思考とかいうのではちょっと物足りないのかなという気はしますね。

まさにこの話。

UXデザイン、デザイン思考は体系化されたプロセスとして「どうやったら優れたサービス、イノベーションを生み出せるか?」をまとめたものだけど、それを正しく使えばだれでもイノベーションが起こせるのか?といったら当然、そんな事は無い。

エスノグラフィ、行動観察、インタビュー、情報の整理、インサイトの発見、課題設定、課題解決のアイデア出し、絞り込み、全てが「人間がおこなう行為」なので、それを行う人の「センス」とか「勘」が大切になる。こんな事言ったら身も蓋もないけど、実際そうなんだと思う。

W型問題解決モデルの「知識の収納庫」も同じ話だと思うけど、「Aという事象」を目撃した時に、それをどうやって情報として脳内で処理するかは人によって異なってくる。

▼Aという事象を目撃した時の脳内

田中さん(仮)
「あっ、Aだ。」

佐藤さん(仮)
「あっ、Aだ。この前見たA'とは形がちょっと違うな。Bよりはかなり尖ってるし、Cとは見た時に与える印象の柔らかさが違うな。」

こんな感じ。先生が授業の中で度々話をしてた「UXデザインをやるためにUXデザインを勉強したらダメだよ。ビジネス書じゃなくて、良い小説を読んだりしなよ!」というのは、この話なんだと思う。脳を豊かに、瞬発力を持った状態にする必要ある。

UXデザインとは「体験的に考える」こと

サービス発表の講評の中で山崎先生が言っていたこの言葉も凄く印象に残っている。UXデザインというと「人間中心設計」とか「ユーザーのインサイト」という部分にフォーカスして「ユーザー体験」をデザインするものとして考えられているけど、実は企画する我々が「体験的に考える」ものなんだよ、という話をしていて非常に納得感があった。

ユーザーの体験をデザインする上で、自分達、企画者側が体験しながら考える。企画者側が「体験」して初めて、ユーザーの体験をデザインできる。そんなメッセージだったと理解している。

次はマスターコースに行きたいなと考えているので、浅野先生とは違う視点で山崎先生から学ぶのが楽しみだ。

さいごに

まず率直に。この1年間、非常に面白かった。毎月1回、土曜日に小田原から永田町まで行って一日潰れるのはちょっと辛かったけど、授業中「これでもか!」っていうくらい脳をフル回転させて、終わったらお酒を飲みながら「友達が出来ないんです…」とかいう私のどうでもよい悩みを聞いて貰ったりして、それも込みでとても楽しい1年間だった。

変化すること、学び続ける事の大切さ
浅野先生に教えて頂いた事で一番大切な事だと思う。KA法、上位下位分析、ペルソナ…etc、そういうUXの手法もいろいろ教えて貰ったけど、そういう部分じゃない「生きる姿勢」みたいなもののヒントを沢山教えて頂いた。

人生には読書・酒・旅が必要
常に好奇心と問いを持って生きる
初めての場所に行って初めての人と話す
得意技を捨てる

こういうこと。友達の作り方は分からないママだけど、こういう「姿勢」はきちんと日常生活に取り入れて習慣化したい。こういう意識、姿勢の積み重ねの先に、きっと他の人には真似できない「発見」「着想」「アイデア」「具現化力」が生まれてくるんだと思う。

先生、クラスメートの皆さんへ
懇親会ではいつも私のくだらない話、しつこい質問にお付き合い頂きありがとうございました。「人との距離の詰め方」のセンスが無いので驚かせたり、不快に思わせてしまった事も多々あると思いますが、めんどくさそうにしながらも付き合ってくれて嬉しかったです。

気軽に「最近どう?一杯いく?」って誘ってくれたらホイホイ行くので、今後ともよろしくお願いします。

1年間お疲れさまでした!

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