見出し画像

十四作目 聖なる夜はあなたと 母娘百合アンソロ④  

一 自己紹介
 
 こんにちは。茅乃です。
 私は『ちのちゃんねる』というチャンネルを運営しています。
 一応有名ピンスタグラマーです(といってもピコピコ配信者的スタンスです)
 私のジャンルは『アオハル系ママフレ』。
 伝わらないと思うので詳しく説明すると。
 アオハル系→青春を過ごす若者。
 ママフレ→ママと仲がよすぎて友だちみたい。
 といった感じです。ママと仲がいい、若い子の配信。ですね。
 普段はSNSの投稿を作りながら動画を撮ったり、案件を回したり、スパチョをもらいながら高層ビルの最上階で生活しています。
 でもこれは贅沢ではなくて、セキュリティの観点でそうしています。
 私たちふたりしかいませんから、なにかあったら大変です。
 ほぼほぼ完全に引きこもり。
 ジムやプール、サウナ、屋外運動場は私たち専用で同フロアに設置してもらっています。
 このフロア全体が私たちのスタジオ兼住む場所なので。
 毎回スタジオを借りるよりは経済的です。
 買い物はもっぱらママゾン、というかほとんど案件で回っています。
 散財し放題、みたいなイメージを持たれることも多いのですが。
 健康のためにも食も慎ましやか。
 贅沢品はカロリーも値段も高いのです。
 そして私、学校行ってなくて。ママもお仕事もしていないんです。
 私が小さい頃になくなったお父さんのお母さん。つまりはおばあちゃんに養ってもらいつつ、私たちは私たちでアフィリエイトや広告収益。それを貯金してこれから困らないように、ママとふたりで暮らしています。
 そんな私、茅乃はママとふたりで暮らしています。
 さっきも聞いた?
 大事なことなので二回言いました。
 ママのかわいさを話し始めると、止まらなくて。
 一度リクエストがあって配信してみたんですけど、私がひたすらに話し続ける耐久配信になってしまいましたので割愛しますが、とにかくかわいくて大好きなママなのです。
 今日はそんなかわいいママにサンタコスを着てもらっています。なめらかな肩が……ふ、ふふふふふ……。
 あ、いけませんね。よだれが垂れてしまいます。
 今は撮影中なので、続きはこちらから――
「こ、これ。撮ってるの……?」
「うん。ママ、ちょーーーーー! かわいい! はぁ……はぁ……」
「そ、そうかしら……こんなおばさんに着せても……」
「たしかに(エロすぎるからね)」
「ひどぉい!」
「まぁまぁ。いい意味で、だよ」
「どういうことなの……」
「でもほんとに似合ってる。かわいい。好き。この世で一番愛してる」
「も、もう……それは私も同じ気持ちよ」
「そういうところがヤバすぎるんですわぁ」
「えっと、茅乃ちゃん」
「なに? ママ」
「あのね、今日のは……その……ピンチューブにあげないでほしいの」
「なんで?」
「茅乃ちゃんをひとりじめしたいなぁ……って……」
「でへへ……じゃあ、写真だけ。いいでしょ? 万PV余裕だから逃したくない」
「……」
「ママ?」
「私より……SNSの方が大事?」
「んなわきゃない!!」
(相変わらずちょろいわねぇ……)
「はぁぁぁ……たしかに。ママのエッチなサンタコスを見られるのは私だけでいいよね」
「う、うん。そんなにエッチじゃないと思うけど……」
「でへへ……これは自分用に使うねっ♪」
「私にも送ってね」
「もちもち」
 ――こんにちは。茅乃ちゃんママの美咲です。私のサンタコスを見せたくないのだそう

続きはこちら
百合小説短編集加筆修正まとめ「百合を愛した日々でした」 (百合創作アンソロジー文庫) Kindle版
Lilium Anthems (著), まちろ (イラスト)



この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?