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グザヴィエ・ドランが引退を発表した。

グザヴィエ・ドランが引退を発表した。

7/7、会社のパーティで映画好きと出会い、久々に「ドランが大好きなんですよ」なんて話をしていたころ、引退を発表していた。

私の映画人生は、ドランと共にあったといっても過言ではない。

高校時代、アニメオタクだった私は、映画に時間を割くことはほとんどなかった。
1日に200ツイートくらいしていたし、
「(」・ω・)」うー!(/・ω・)/にゃー!」しか言っていなかった。

しかし高3の時、予備校教師の影響で西洋絵画に興味を持ち、
それをきっかけに、滑り止めにしていた(注釈1)某S大学芸術学科に入学し、映画に触れ、
あらゆる芸術の要素をもった「第七芸術」としての映画に魅了された。

ドランとの出会いはいつだったろうか。
初めて見たのは『トム・アット・ザ・ファーム』だった。

映画館で見た記憶が無いから、8年前、
レンタル開始早々に、近所のレンタルショップで借りたのだろう。

未だに私の中で本作が一番印象に残っている。
24歳の映画監督が、この世界を可視化し、演じているのかと。

初めて明確に「好きな映画監督」が出来た瞬間だった。

(イキリにわかだったので、当時のファッション映画好きとして確たる肩書を欲していたのかもしれない。本音は「ドランが好き」といっておけば、ある程度イケていると、そんな邪な気持ちも含まれていたと思う。)

そして、持ち前のオタク精神を発揮。
彼の過去作品を全部観た。オールナイト上映も行った。
深夜2時の『私はロランス』は子守唄のようだった。

彼の新作を待ち、初日に劇場で見た。評論も読み、パンフレットも買った。
彼の好きだという映画も観た。卒業論文は『mommy』を論じた。
何度も何度も観て、緻密な映画の作りに驚くことばかりだった。

これは個人ブログなので、彼の作歴を並べることは省くが、
ある時から、ドランの作品はあまり日の目を浴びなくなった。
彼は度々インタビューで、批判に対して辛そうな言葉を並べていた。

19歳でデビュー、その時に集めた名声を再び求めていたのだろうか。
年齢とのギャップを過剰にもてはやしたメディアのせいだろうか。(怒)

「お金と時間をかけても、評価されない」そんな引退理由だった(意訳スマソ)

どんなに駄作であろうと、どんなにチープであろうと、私たち(注釈2)は新作が出るだけで良かった。
ドランと同じ時代に生きていることが、とても嬉しかったんだよ。

ドランが生きている限り、私は映画の近くで生き続ける。
こんなセンチメンタル全開なブログになってしまったが、死んだわけではない。

それに、役者は続けると言っている。
また戻ってくるのではないか、と都合の良い妄想をする。
また、いつか。コテコテのドラン作品を見させてね。

(注釈1)学歴コンプ、人生最後の足掻き
(注釈2)イマジナリー・ドラン好きサブカル女たちを含む


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