20200220保命酒

94番 なし(ということで保命酒研究)

さて、94番は五虎湯ですが…と思ったら、94番は欠番で五虎湯は95番でした。ということで、欠番恒例○✗酒研究。
42番では養命酒44番ではお屠蘇49番では陶陶酒を取り上げました。
今回は私の地元に近い福山の保命酒を取り上げます。
保命酒とは、1659年(万治2年)、大坂の漢方医 中村吉兵衛先生が備後鞆の浦で醸造されていた吉備の旨酒に中国産の生薬を漬け込んで作られた薬用酒のこと。中村家が福山藩の保護を受け、製造販売を独占。ペリーが日本にやってきた際、一行をもてなす宴会でもふるまわれたといわれています。明治以降は、中村家以外にも保命酒を手掛ける会社が増え、逆に本家が廃業。製造法は門外不出・一子相伝であったため、正確な組成は不明となっていました。その後、2006年に古文書が発見され13種の生薬が判明。「十六味地黄保命酒」とは醸造成分の焼酎、もち米、麹を加えた16種だとか。
現在は4社が製造しているようですが、組成は製造元により若干異なるようです。

組成

地黄(じおう);滋陰・清熱作用、止血作用
川芎(せんきゅう);活血・行気作用、鎮痛作用
芍薬(しゃくやく);緊張緩和作用、通経作用、止汗作用
当帰(とうき);補血・回陽作用、安胎作用、通便作用
沢瀉(たくしゃ);除湿・利水作用
茯苓(ぶくりょう);利水作用、健胃作用、精神安定作用
白朮(びゃくじゅつ);健胃作用、利水作用、止汗作用
肉桂(にっけい)=桂皮(桂皮);発汗解表作用、降気作用、駆瘀血作用、鎮痛作用。
甘草(かんぞう);降気・鎮静作用、緊張緩和作用・鎮痛作用、去痰作用・咽痛治療作用、温補・回陽作用、瀉下剤に対する緩和作用、補津作用、健胃・強壮・止瀉作用。
杏仁(きょうにん);鎮咳・去痰作用
葛根(かっこん);潤腸・通便作用
丁子(ちょうじ);肉桂と合わせて血行促進
砂仁(さじん);解熱・健胃作用、消化・整腸剤
山茱萸(さんしゅゆ);止汗作用、強壮作用
山薬(さんやく);補気・強壮薬
檳榔子(びんろうし);理気作用、胃薬。

勝手にポイント

地黄+川芎+芍薬+当帰=四物湯
地黄+沢瀉+茯苓+桂皮(=肉桂)山茱萸+山薬(+牡丹皮、附子)=八味地黄丸
川芎+当帰+白朮+桂皮(=肉桂)+甘草+丁子+檳榔子(+黄芩、黄連、人参、木香、香附子)=女神散
と考えると、四物湯をベースに八味地黄丸と女神散をちょっと足した感じ。
のこる杏仁、丁子、葛根をどう考えるか…だか、時間切れorz