105番 通導散(つうどうさん)
瘀血とは静脈系のうっ血、出血に関連した症候群のこと。具体的な病態としては、婦人科系として生理不順・生理痛・その他月経にまつわる異常、循環器系としては冷え・疼痛性疾患・うっ血性病態・出血・静脈瘤で「瘀血」の存在を考えます。
瘀血に対する薬が駆瘀血剤ですが、便秘についても効果があります。その強さとしては、大野クリニックの大野修嗣先生によると
桃核承気湯>大黄牡丹皮湯≧通導散≫桂枝茯苓丸
だそうです。(出典;漢方スクエア 症例検討体験 Q19.微熱 回答)
使用目標(証)
本方は、体力が充実し、のぼせ、便秘傾向がある人の、いわゆる瘀血(静脈系のうっ血、出血などに関連した症候群)を目標に用いる。腹部は、しばしば心窩部痛を中心に強い緊張が認められ、臍下部に著明な抵抗・圧痛(小腹硬満)が認められることが多い。一般に、のぼせ、頭痛、めまい、肩こり、不眠、不安、月経異常、便秘、腰痛、打撲などを伴う。
組成
枳実(きじつ);理気剤。上腹部のつかえを取る。
大黄(だいおう);熱を瀉する薬。便秘にも効く。
当帰(とうき);補血、駆瘀血剤。
甘草(かんぞう)
紅花(こうか);補血、駆瘀血剤。
厚朴(こうぼく);胃の水分を調整。
陳皮(ちんぴ);胃の水分を調整。
木通(もくつう);利水作用。
蘇木(そぼく);マメ科スオウの木。駆瘀血剤。
芒硝(ぼうしょう);熱を瀉する薬。便秘にも効く。
勝手にポイント
実証用の駆瘀血剤。桃核承気湯と対比される。
実証で便秘気味の月経不順、月経痛、更年期障害などにも使う。高血圧に伴う頭痛やめまい、のぼせ、肩こりにも使う。気鬱にも効く。
参考資料
「つまずきから学ぶ漢方薬 構造主義と番号順の漢方学習」 岩田健太郎 著 / 西本隆 監修
「漢方製剤 活用の手引き 証の把握の処方鑑別のために」 長谷川弥人 大塚恭男 山田光胤 菊谷豊彦
漢方スクエア 絵でわかる漢方処方解説 通導散
漢方スクエア 方剤解説 通導散