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83番 桂枝人参湯(けいしにんじんとう)

ノロウイルスやロタウイルスによるウイルス性胃腸炎の薬となると、意外に西洋薬の出番がない。ビオフェルミン®とナウゼリン®、痛いときにはブスコパン®、熱があったらカロナール®みたいに、ちょっと粗雑な処方になってしまう。
その点、漢方薬の方が、こまめだったりします。候補としては、小柴胡湯(9)、半夏瀉心湯(14)、五苓散(17)、柴苓湯(114)に、今回取り上げる桂枝人参湯(83)。
たとえば、下痢の回数が少なく、水様便でなければ、半夏瀉心湯。逆に、水様性下痢が頻回なら五苓散。熱が高ければ柴苓湯。嘔吐がなければ桂枝人参湯など。
でも、いちばん大切なのは、そのような細かな問診をすること自体だと思ってたりします。

使用目標(証)

本方は、比較的体力が低下した人の食欲不振、胃部停滞感、心窩部痛、下痢などの消化器症状に発熱、頭痛、心悸亢進などを伴うものを目標とする。腹壁は軟弱で、心窩部振水音を認めることが多いが、薄い腹壁が帰って緊張し、固く触れる場合もある。一般に四肢冷感、易疲労感、多量で稀薄な尿、軟便、唾液分泌過多などを伴い、魔命、頭重、嘔吐などがみられることもある。

組成

桂皮(けいひ)
甘草(かんぞう)
白朮(びゃくじゅつ)
人参(にんじん)
乾姜(かんきょう)

勝手にポイント

人参湯に桂皮を加えた薬(厳密には乾姜を減らして…)
元気がない、脾胃が虚して冷えた患者で、かつ熱があって表証も治したい時に使う。

参考資料
「つまずきから学ぶ漢方薬 構造主義と番号順の漢方学習」 岩田健太郎 著 / 西本隆 監修
「漢方製剤 活用の手引き 証の把握の処方鑑別のために」 長谷川弥人 大塚恭男 山田光胤 菊谷豊彦
漢方スクエア 絵でわかる漢方処方解説 桂枝人参湯
漢方スクエア 方剤解説 桂枝人参湯