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ねずみくんの1日

ねずみくんの1日は忙しい。
決められた時間のなかで働かなくてはならない。

ねずみくんの朝は一階に住む人たちの夜だ。

一階には若い夫婦が住んでいる。
彼らはとても仲が良い。
旦那さんはいつも奥さんの体を触ってニヤニヤしている。
毎日聞き飽きるくらい名前を呼んでいる。
奥さんもまんざらではなさそうだ。

旦那さんは毎日”イビキ”がうるさくて奥さんから注意されている。
最近奥さんは耳栓をつけはじめた。

でもその”イビキ”がねずみくんの目覚まし代わりなのだ。
イビキが聞こえない日は危うく寝坊をしてしまいそうになる。

ねずみくんが目を覚まして朝ご飯を食べ終わった頃に旦那さんは仕事に行く。
その頃には奥さんはぐっすり寝ている。

ねずみくんの仕事が始まる。

奥さんはウッカリすることが多い。
夜ご飯の残りを冷蔵庫にしまい忘れる。

そんな日のねずみくんは大漁だ。
人間の台所とねずみくんの家を何往復もする。

なんということだ。
今日はオカズの他にもキャベツが丸ごと置いてある。

カジれるだけカジってお腹を膨らます。
持ってきた袋にもたくさん入れて持って帰ろう。

何往復もしてねずみくんの家の冷蔵庫もいっぱいになった。
これで1週間は食べ物に困らないだろう。


奥さんがウッカリ屋さんでよかった、といつも思う。

そうこうしていると7:30に奥さんの目覚まし時計が鳴った。

もうそんな時間か。
窓の外が明るくなってきた。

一階に住む人たちの朝がねずみくんの夜だ。

今日はよく働いた。
ぐっすり眠れそうだ。


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