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Thin Lizzy "Live and Dangerous"

Thin Lizzyも10代の頃に出会った思い出深いバンドだ。

ハードロック、ヘビーメタルというジャンルにハマったばかりの当時の僕は、自分の好みの曲やアルバムをひたすら探し始めた。
今だったらネットを使えば幾らでも音楽を探して聴くことができるが、当時はそんな事は当然出来ず、ラジオやテレビで聴くか、CDを買うなり借りたりしなければ、実際どんな曲なのかも分からない時代。
田舎だと同じようなジャンルを好む友人も皆無だし、必然的に情報収取には音楽雑誌が重要になってくる。ということで、BURRN!(日本で一番普及していたメタル雑誌)に自分も行き着いた。
ある時、Thin Lizzyの特集がされている記事をふと読んで、このバンドに興味が湧いた。ツインリードギターによるハーモニーが記事には強調されていて、自分はIron Maidenみたいなバンドをイメージしてベストアルバムを購入したのだった。

いざ聴いてみると、想像していたのとは全く違った曲調であり、かなり戸惑い、その後ガッカリした記憶がある(ラストアルバムのThunder and Lightningからの曲だけは期待通りだったが)。
しかし、使えるお金も大してない年頃、勿体ない気持ちもあって何度もこのアルバムを聞き返していた(これはある一定の年代以上の人は、誰しも経験があるのでは?)。
そうやっていたら次第に気に入ってしまい、いつの間にかこのベストを愛聴するようになっていた。ということで、その後は彼らのアルバムを少しずつ買い集めていくことになる。

Live and Dangerousは、彼らの全盛期に発売されたライブアルバムであり、当時の勢いのある雰囲気を上手く捉えている。正確にはフィル・ライノットのVoとBaは取り直されているようだが、作品として良ければ個人的にはどうでも良い話だ。
とにかく、このアルバムに収録されている曲は、どの曲もスタジオ盤より良くなっている。こちらを聴いてしまうと、スタジオ盤はショボく聴こえてしまうのだ。

アルバム全体がお勧めではあるが、特に好きなのは次の4曲。
・軽快なリズムで所々コーラスも混ぜながら最後に聴衆に拍手を促してツインリードで締めるRosalie
・哀愁のアイリッシュメロディーのギターソロが繰り広げられるEmerald
・格好良いツインリードのイントロから始まり疾走感のある展開のMassacre
・泣きのVoとギターソロが堪らないStill In Love With You

メロディアスなツインリードだけでなく、リズミックで時に哀愁のあるVo、魅力的なメロディラインを弾く太いBa、そしてテクニカルで軽快なDrもこのバンドの魅力。
このアルバムを聴いて気に入らなければ、Thin Lizzyは合わないと思う。興味はあるが聴いたことがない人は、是非聴いてもらいたい。

それにしても、今の若者はこんな風にバンドや曲に出会うことはないのだろうな。ジャケ買いなんて言葉も最近は全く聞かなくなった。購入したアルバムを家で聴くまでのワクワク感をふと思い出し、懐かしくなった。

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