ハクション大魔王が現れた
はっっっっくしょん!!!!
はっっくしょん!!!!
部屋全体にくしゃみが響き渡る。
ただでさえ、例のウィルスのせいでみんな敏感になっている。
そんなのお構いなしでくしゃみをする男。
くしゃみをする方を振り向くと、そこには明らかに不摂生な中年男性の姿が。
太っていて、髪の毛が薄らしていて、だるだるのスーツを着ていて。
思わず目を背けたくなる。
はっっくしょん!!!
ええい。
気が散る。
心なしかこっちが寒気がする。
大体、体調が悪いのなら、外に出歩かずに家で休んでいればいいのに。
しかも時間は22時を回っている。
早く休んだ方がいいにも関わらず、なぜそこにいる。
はっくしょん!
はっっっっくしょん!!!
あれ?
このおっさん、マスクしていない?
いや。
マスクはつけている。
つけているのだけれども、なぜかくしゃみをする時だけマスクを外している。
もう一度言おう。
くしゃみをする時だけマスクを外している。
ちょっと待て!!!
な ぜ 外 し た
100歩譲ってくしゃみをするときはマスクしろよ!!
意味ないじゃないか!!
おそらく私はハクション大魔王にやられるだろう。
大魔王のいてつくはどうにやられて、きっとベッドの上で横たわっているだろう。
しんでしまうとはなさけない。
王さまのセリフが聞こえてきそうだ。
自分がハクション大魔王になるくらいなら、せめて私は家に閉じこもっていよう。
あのおっさんと一緒にされるのはごめんだ。
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