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卓球の全日選手権は準決勝が熱いと思う

18対16。
今年の全日本卓球選手権の女子シングルス準決勝。
早田ひな選手と加藤美優選手が第6ゲームに取った得点だ。
卓球は得点が10対10になると、相手から2点連続で得点しないとゲームに勝てないルールになっている。
連続して2点を取るために、10対10から長い長い戦いが始まる。
相手との戦いが。
何より自分自身との戦いが。

第6ゲーム。
加藤選手はこのゲームに勝てば決勝に進むことができる。
反対に早田選手にとっては、このゲームに負ける=試合に負けることになる。
天国か地獄か。
一瞬も気の抜けない戦いだ。
得点が10対10になったとき、相手はどのように攻めてくるのか、自分はどう攻めるか、これまでの試合の流れからきっとお互いにわかってきているだろう。
2点を連取するために、早田選手も加藤選手も考えに考えを巡らせる。
これまでの経験から、徹底的に相手が苦手なパターンを攻めるだろう。
早田選手も加藤選手も心技体知全てをフル稼働させた。
その結果が18対16というスコアになった。
早田選手が第6ゲームに勝ったけれども、加藤選手が勝ってもおかしくない状況。
この第6ゲームの攻防が明暗を分けた。
最終的に早田選手が決勝に進出したけれども、本当に紙一重の戦いだった。

女子だけでなく男子の準決勝も熱い試合だった。
吉村真晴選手と松平健太選手。
吉村選手はリオ五輪の代表。
日本チームの銀メダルに貢献した選手だ。
一方の松平選手も日本代表として国際大会で活躍してきた選手だった。
近年の全日本選手権では、お互い不本意な結果に終わったこともあり、今年の大会にかける想いは並外れたものではないだろう。

吉村選手は28歳。
松平選手は30歳。
年齢的にはベテランの域に差し掛かってきたけれども、年齢を感じさせないプレーを見せてくれた。
プレーの一つ一つから、両選手ともにこの全日本選手権のコンディションを整えて優勝を目指す気迫が伝わってくる。
結果は最終第7ゲームまでもつれ込み、松平選手が勝利した。
敗れた吉村選手がしばらく会場で座りっぱなしだったのが印象的だった。
どれだけの想いでこの大会に臨んでいたのかが窺える。

これは私の完全な主観だけれども、卓球の全日本選手権は準決勝が面白いと思う。
毎年、名勝負が準決勝にあると思う。
昨年は早田選手と伊藤美誠選手が準決勝で当たった。
この時は最終第7ゲームまでもつれ込み早田選手が勝利した。
死闘というに相応しい試合だった。
2年前も伊藤選手と早田選手が死闘を演じた。
男子も張本選手と戸上選手の若手同士が、ハイレベルな戦いを演じた。

このように準決勝は見応えがある試合が多い。
きっと決勝戦を前にした想いがぶつかりあうのだろう。
決勝戦だと独特の雰囲気があって緊張してしまい、実力を発揮できない場合があると思う。
けれども準決勝なら、ファイナリストになりたいモチベーションもあり、かつ決勝独特の緊張感もない。
だから、きっと選手たちはその実力を遺憾無く発揮するのかもしれない。
むしろ実力以上の力を引き出すのかもしれない。
このような状況だから、準決勝は名勝負が生まれやすいのだと思っている。

もし卓球の全日本選手権で決勝戦だけをご覧になっている方がいたら、是非とも準決勝をご覧になってはいかがだろうか。
決勝戦にない、選手たちの死闘を観ることができると思う。
残念ながら準決勝はニュースに取り上げられる機会は少ない。
けれども、選手たちの想いがぶつかりあって生まれる名勝負がそこにある。
決勝戦では味わえない勝負を是非ご覧になってほしい。

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