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目的がない人って一体どうやって目的を見つければいいのだろうか? 多分、水星の魔女を見ればわかるかもしれない。

「私に言われても困ります」
「決めるのは○○さんですので」
これ、会社でよく耳にする言葉だな。
自分は責任を取る立場でない。
自分は上司から指示された仕事を全うする立場であって、上司からの指示が気に食わないからといって自分に反論されても困る。
サラリーマンあるあるだなあ、と思った。
大人って、いつからこうなったのだろうか。
かたや子供の方は、親が周りが偉い人が決めたルールに沿って生きていくことを強いられる。
本当はあれをやりたい、これをやりたいと言っても、否定される。
自分の意見を殺して、親の言うこと、世間一般で間違いないと言われていることに黙ってしたがっていればいい。
親から褒められる。
周りから褒められる。
だから自分の意見を殺して、素直な子供として振る舞う。
もちろん大人側にも理由があって、それまでの経験から導かれた根拠がある。
最も安全な道。
たとえ苦しいことがあっても、道を外れた結果として露頭に迷うよりはマシな道。
その通りなんだろうけど、若者の意見を否定することは若者の可能性を否定するとイコールかもしれない。
安全な道を教えようとしている大人が、むしろ自分の意見をいえず、偉い人の顔色を伺い、その鬱憤を若い子たちに晴らしている感じがして、大人ってなんだろう、と思ってしまう。

機動戦士ガンダム水星の魔女は、なんというか、ただ自分が決めたルールを押し付ける老害とそれに歯向かう若者、という単純な縮図ではなさそうだ。
アニメだからキャラを立たせるために、ちょっと意見の対立を鮮明にしてすぎている感じがするから、行間を読んで楽しみたい人、言葉にならない言葉を楽しみたい人は、ちょっとうるさいアニメに見えるかもしれない。
けれども、自分の感情を剥き出しにして大人に歯向かう子供と、自分が決めたルールを押し付ける大人、どっちが子供なのかわからないこのやりとりがいい味を出している。

アニメを見たのは何年ぶりだろうか。
SHIROBAKO以来か。
世間のアニメブームに乗らなかったから、あんまり流行のアニメは見ていない。
ガンダムシリーズもファーストガンダムとか見たことがあるけれど、全シリーズ知っているわけでもない。
YouTubeに表示されて、興味を持っただけだったけど、この水星の魔女を見てみるとよくできていると思った。
まだ、始まったばかりだけれども、今後どのような展開を見せるのか楽しみだ。
アニメの続きが見たい、なんて感情は久々かもしれない。
仕事ばかりの中、たまにはアニメで息抜きしたい。
そんなことを思いながら水星の魔女を見てみると、なぜかサラリーマン風の中間管理職のキャラのセリフが妙に頭に残る。
こいつも嫌な立場に立たせれているんだな。
ちょっと同情してしまう。
人間、大人になるにつれて、ましてや権力を持つにつれて、他人を支配したくなるのだろう。
サラリーマン風の中間管理職も若者も、そんな老害となってしまった大人の被害者なのかもしれない。
だから自分の意思を持たず、目的もなく、ただ単純に上司の指示に従うだけ。
反対に、自分の感情に正直に生きる若者サイドを見てみると、この可能性というか純粋な心が潰れないでほしいなと思ってしまう。
同時に、物語が進むにつれてこの可能性がどう潰されてしまうのか、気になってしまう。

ちょっとネタバレになるのだが、ふと思ったことがある。
この主人公、明確な目的がないんじゃないか。
主人公のパートナーは地球に向かう明確な目的があるけれども、主人公にはそれがない。
場当たり的に、その場で起きた問題に対処する。
その時は火事場の馬鹿力のような力を発揮する。
まあ、アニメとしてはこれでいいんだろうけど、この目的がない主人公にどのような目的が生まれるのか、楽しみでならない。
それは、目的を失って場当たり的に生きている私たちに対して何かのメッセージになると思う。
きっとそう思う。

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