運転の話。

自動車の運転が怖かったんです。最悪死ぬし、人の命を奪ってしまうこともあるから。今こう書いてて「結構大抵の道具も使い方を間違えたらそうだな?」と思ってハッとしたんですけど。とにかく怖かったんです。運転するの。

地元は田舎なので移動手段として自動車は大きな役割を持っていて、遠方の職場に通勤する為に姉は免許を取りました。両親は現地元に住む前から免許を持っていました。私は自動車の速度がおっかないので、きっかけがなければ、不便でも免許を取らないつもりでいました。

ある時一人の友人が合宿免許を取りに行くつもりだと話してくれて、彼女に誘われたのか、その頃に必要性を感じていたのか、はっきり覚えていないんですが「これを逃すとマジで一生自分は免許を取らないだろう」と思い、友人と一緒に長野へ行きました。

最初に教習所内で初めて40キロを出した時の恐怖心と、道路を運転した方が広くて気持ちが楽だと感じたこと、相性の良い先生、相性の悪すぎる先生、教習所の近くに和菓子屋さんをみつけて、毎日お饅頭を買いに行ったら店員さんと親しくなり、オマケをしてもらえるようになったこと、関東じゃそんなに降らない結構な雪の夜に運転をしたこと、高速道路に思い切って入る時めちゃくちゃ怖かったことなどを覚えています。高速道路にはあれ以来乗れていません。ずーっと一般道路だけ走っています。片道三時間かかろうと。

仮免取得後、筆記試験も無事にクリアして、晴れて普通免許を取ってからも、一ヶ月近くは緊張と恐怖心で運転できるコンディションになれませんでした。手が震えたり吐き気がしたり。わざわざ長野まで行って泊まり込みで免許取ったのに!?

教習所でねぇ、運転傾向診断みたいなチェックシートを書く授業があったんですけど、それで自分は「Cタイプ。精神的に不安定な場合は運転を控えましょう」っていう結果が出ましてね。めっちゃ私じゃ〜ん!!って納得して、真面目にその診断の注意点を守って、最初の一年くらいの間、今日はいける!という日以外は運転をしないようにしていたんです。そのくらい怖かったんです。マジで「自分はうっかりすると見知らぬ誰かの命を奪ってしまえる危険な乗り物を操る資格を手にしてしまった」っていう感覚だったんです。戦車じゃねぇんだぞ落ち着けって今なら少しは笑えるんですけど…。

その運転なんですが、最近妹を遠くの病院に送ってあげた時に、あれ?私運転好きかもしれないなって思えるようになっていることに気づいたんです。こうやって足がなくて家族が困っている時に私が運転を頑張ったら、家族の助けになれることが嬉しいとか、姉や母が不在の時に入院中の父に荷物を持っていってあげられることとか。

運転って、他のドライバーさんとの気の配り合い、空気の読み合いだと思うんですが、道を譲ってあげたり、譲ってもらったり、知らない人とそういったやり取りの中で感謝し合えることってなんかいいなぁと思うようになったんです。そういう時間が好きだなって。

あんなに運転を怖がっていた自分が(今も相変わらず怖いには怖いんですが)こういったことで喜びを感じるまでに成長したってこと!?と嬉しくなったんです。やったー。

最近は趣味のカラオケに行くことも難しいので、運転しながら好きな曲を大声で歌ったりして。いや、これは自分で運転できるようになる前から習慣づいてたことなんですけど。運転中なら大きな声出しても外にいる人の迷惑にならないっていう認識も苦手意識の変化に影響してるかもしれません。熱い歌詞のアニソンとかばかり歌うので…。

何にしても、苦手だと思っていたことが少しずつ苦手じゃなくなっていくのは本当によかったなぁと思います。いつか高速道路にも乗れるようになるかなぁ。極力乗りたくないけど、もしかしたらもうすぐ子どもが産まれるのに移動手段がない!みたいな人を急遽乗せてあげたり…そんなことはないか流石に。タクシーでもないし。飛行機に間に合わない人をとか……ないか。わはは。

今日はこんなもんで。


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