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立ち上がり動作の「楽な」介助の視点(場面別)

当ブログへ訪問していただきありがとうございます。

福岡県で理学療法士をしてますkenkenです*

日々のちょっとした疑問や曖昧なことに、"しっかりと向き合い"皆さんにとって有益な情報発信ができるようにお役にたてればと思います。

日常生活場面では、なにかをするときに必ず移動を伴います。

「なにか目的を達成する」ために、ベッドから起き上がったり、座ったり、立ち上がってトイレに行ったりと動きが生活を繋いでくれます。

本日はその中の「立ち上がり」に着目してまとめていければと思います。

はじめに

車いすを使用している方が立ち座りを行う際に、介助者が適切な方法でサポートすることは非常に重要です。

特に、ベッドやトイレなどの場面では、正しい介助方法を知ることが、対象者の快適さや安全性に直結します

以下では、車いすからの立ち座りを楽に介助するポイントを具体的な場面に応じてまとめていきたいと思います。

🔲 起立動作の理解を深めよう!

《起立動作》

起立動作は、相に分けてみると3〜4相にわけることができます。

①座位〜身体を前に傾ける(前に屈む)
②臀部離床(お尻が椅子から離れる)
③臀部離床〜立位(全身が伸び上がる)

ここでは簡単に、立ち上がり動作は、お尻と足で支えている広い面から、足下の狭い面に体重を移動させる課題と覚えておきましょう!

《起立動作を構成する要素》

・座位バランス能力(体幹機能)
・下肢筋力、下肢支持性
・運動協調性(運動の滑らかさ)



特に、後でも述べますが、
起立動作の一連の流れをみて、下肢をオレンジ色で表記していますが、何か気づくことはありませんか?




そうです。「屈みこむ動き」をしているんです。

つまり、足下に手が届くのか?足下で靴を履けるのか?などの動作の可否と起立運動の要素が類似していますので、起立する前に事前にチェックしておくとよいでしょう!!

《事前に確認しておくべきこと》

➖ 介助が必要な対象者はどのくらいの身体能力があるのか?

➖ 口頭指示はどのくらい理解できるのか?


🔲 手放しで座っていられるか
   →座れない場合、1名介助では難しいです

🔲 足下に手が伸ばせる(靴が自分で履ける)
   →下肢の支持性を確認します

🔲 協力が得られる
   →自分の力を最大限に活用しましょう!

《介助中の3つの大事なポイント》

1. 相手の動きの邪魔をしない

2. 持っている力をしっかり使ってもらう

3. 不足するところを手伝ってあげる

レクリエ 高齢者介護をサポートするレクリエーション情報誌 動きを踏まえた「立ち上がり介助」の4つのポイントより引用
レクリエ 高齢者介護をサポートするレクリエーション情報誌 動きを踏まえた「立ち上がり介助」の4つのポイントより引用


🔲 ベッドでの立ち座り編


1. 腰のサポート:
対象者がベッドから立ち上がる際には、介助者が腰をサポートすることが重要です。
腰をしっかり支えることで、対象者が安定して立ち上がることができます。

※介助者が正面に立つと立ち上がりにくくなりますので、力が入りにくい側からサポートしましょう!


2. 手のサポート:
対象者が立ち上がる際には、介助者が対象者の手を握り、安定した立ち姿勢を保つようにサポートします。
対象者が自分の体重をかける際に手を使うことができるようにすることが大切です。


3. スムーズな移動:
ベッドから立ち上がる際には、介助者と対象者が協力してスムーズな移動を心がけます
急いだり無理な力を入れたりせず、ゆっくりとした動作で立ち上がることが重要です。

※車いすに移る前に、1度その場で立ち上がりをしてもらい、力が入りにくい、膝折れがある場合には無理に抱え上げたりせず応援を依頼したり、介助方法の見直しをおこないましょう!


膝折れ側の足をロックする場合


🔲 トイレでの立ち座り編


1. 便座の高さ:

トイレでの立ち座りを楽にするためには、便座の高さが対象者に適しているか確認します。
必要に応じて便座の高さを調整し、対象者が楽に立ち上がれるようにします。

トイレの高さは床から40cmが一般的な値です

トイレナビ 超高齢社会の住宅トイレ トイレ器具選びのポイントより引用



2. 手すりの活用:
トイレには手すりを設置し、対象者がそれを使って立ち上がる際に安定した姿勢を保つことができるようにします。
手すりを活用することで、介助者の負担も軽減されます。

トイレナビ 超高齢社会の住宅トイレ トイレ器具選びのポイントより引用

上図の真ん中のように、便座に座った位置から縦手すりが自分に近すぎると逆に立ちにくくなります。上図の右側のように、人によって立ちやすい位置が変わることがあります。

※手すりの設置や住宅改修をされる際には十分にご注意ください


3. コミュニケーション:
対象者と介助者の間でコミュニケーションを大切にしましょう。

対象者が立ち上がる際にどのようなサポートが必要かを確認し、安全かつ快適な立ち座りを実現します。

おわりに

車いすからの立ち座りを楽に介助する際には、利用者の身体的な状態や環境に合わせて適切なサポートを提供することが重要です。

ベッドやトイレなどの場面では、腰や手のサポート、スムーズな移動、便座の高さや手すりの活用、そしてコミュニケーションがポイントとなります。介助者と利用者が協力して、安全で快適な立ち座りを実現しましょう。

以上、車いすからの立ち座りを楽に介助する方法についてご紹介しました。利用者の健康と安全を考え、適切な介助を行うことが大切です。安心して介助を行うために、常に利用者とのコミュニケーションを大切にし、適切なサポートを提供してください。

皆さんの日常生活に少しでもお役にたてたら光栄です🦥🍃

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