ルーティーン

職場の同僚と仕事終わりにボウリングに行ってきた。

学生の頃は結構やっていたが、社会人になり回数は減っていった。

いつ以来だろう半年、いやそれ以上かもしれない。


実は学生時代、体育の集中講義でボウリングを選択していた。

1週間毎日新宿へと足を運び、1日に5〜10ゲームひたすら投げる。

そんなストイックな授業だったため、2日目以降は

みんなから鼻を抜けるような湿布の香りが漂っていた。


そんな経験を積んでいたため、学生時代にはスコアが200を超えたことも何度かあった。

しかも私は形から入るタイプの人間であるため、フォームはとても綺麗であるという自負がある。

いい位置に立ち、狙いを定め、歩きだすとともに右腕を大きく引く。

その勢いを生かして、無理に力を入れることなく指先からボールを放つ。

指先から離れていった12ポンドのボールは、そのままヘッドピンの少し右に当たり

ピンが互いにぶつかりながら一つ残らず倒れていく。

これをルーティーンとして、12回投げればパーフェクトの300というスコアを叩きだすのである。


しかしここは人間、全く同じルーティーンを繰り返しているようで、実は毎回少しずつ違っている。

力の入れ具合、歩幅、腕の高さやリリースのポイント。

数え上げればきりがないが、前回と同じところなどほとんどない。

同じなのはボールの重さと、体にまとわりつく脂肪の量くらいである。


スコアが200を超えるなんていうのは、やはり過去の栄光、昔取った杵柄である。

やはり今回も150の壁を超えることはできなかった。

なんなら3ゲームのうち1ゲーム目のスコアが一番良かったのである。

以前の私なら1ゲーム目より2ゲーム目、2ゲーム目よりも3ゲーム目

というようにスコアを尻上がりに伸ばしていったものである。

しかし現実は、ゲーム数を重ねるたびに襲いかかる右腕への負担。

腕に力が入らなくなるのである。受付の時に

3ゲームで終わりにできないかもよ

なんて言っていた先輩も、3ゲーム目は80点近くスコアを下げており

3ゲーム目、全員の投球が終わると同時にそそくさと退散することになった。


ルーティーンの競技であると同時に、それを繰り返すことの難しさを知ったのである。

それゆえ、日々ルーティーンのように繰り返される日常も、

実は同じことなど何一つなく、全てが少しずつ違っていて

その違いに新鮮さを感じられるようになったら

日々の暮らしは華やかになるのかもしれない。


そんなことを考えながら右腕にバンテリンを塗りたくる午前0時


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