コミュニケーションではベクトルを誰に向けるのが良いか?
「もう,なかなか話が切れなくて困ってるんです」
今日のセミナーはこの一言から始まった。
職場で自分の話に花を咲かせているおばさん。
勝手に自分で咲くのは全く問題ないのだが,
「私の花を私の気が済むまで見なさい」
と言わんばかりに退屈な話をエンドレスでしてくるそうで、、、
皆さんはこんな人を目の前にどうしますか?
1、話が長いおばちゃんの話をどうやって切るか
なぜ話を終わらせられないのでしょうか?
①相手は常に話を聞いてくれ状態だから
どれだけ話を聞いても,無尽蔵に話題が出てくる。一方的にしゃべられる。もちろん,こちらが話を聞きたい時はいいですが,そうでない時には,時間を浪費しているのでしんどいばかりです。
『時間=命』話をしている相手は人の命だけでなく自分の命も無駄遣いしているのではないかと思ってしかたありません。
「僕の命をどうしてくれるんだ!!!」
「自分の命をもっと大切にしろよ!!」
と言いたい気持ちはやまやまですが,
そんなこと言って相手に怒られたらどうしようとか,関係が崩れたらめんどくさいなと思ってしまうんです。
②話が取り止めもないから
電話での話も終盤に差し掛かり,そろそろ切り上げる頃かなって時になかなか電話を切れない経験は皆さんありませんでしょうか?僕はしょっちゅうあります。早く「じゃあね」と言って欲しいのになかなかそうならない。じゃあ自分でいえよとなるんですが,なぜかその一歩が踏み出せない。相手が電話を切り出さないってことは,まだしゃべりたいのではないか?そう思っているのにこちらから電話を切ると不快な気持ちにさせるのではないか?なんてお互いにかんぐって、、、だらだらと電話を続けてしまう。これもお互いの命を無碍に扱ってますね。
2つに共通して言えることは,
「自分にベクトル(意識)が向いている状態」
であるということです。
①は自分がめんどくさいからしない。本心を押し殺して。
②は自分が嫌われたくないから言えない。本当の気持ちを抑えて。
コミュニケーションにおいて
「自分にベクトルが向いている」状態では
win-winな関係を築くことはできません。
コミュニケーションにおいては
「相手に意識が向いている」状態が望ましいです。
「相手に嫌な思いをさせないように話そう」
と配慮をすることはとても大切ですが,
「相手に嫌な思いをさせそうだから話さないでおこう」
と遠慮はいりません。
今回みんなで意見を出し合った結果,
長いおばちゃんの話の切り方は,
「すみません,ご飯の用意がまだで早く帰らないといけなくて」
「旦那と7時に待ち合わせをしているのでもう帰りますね」
と方便を言おうとなりました。
嘘ではありません。方便です。
嘘は,
「僕はハーバード大学を主席で卒業してるんだぜ!」
と過去のことを改ざんすることです。
一方,方便は
「旦那と7時に待ち合わせをしているのでもう帰りますね
(の予定なんですが予定は変わるかもかもしれません)」
と未来の来ることはないが今はそう勝手に思っていることです。
「嘘をつくなんて,僕の辞書にはないからできない」
あなたの辞書に方便を追加してください。
それであなたはおばちゃんの呪縛から解放されます。
2、コミュニケーションのベクトル
コミュニケーションのベクトルは誰に向けるかによって
全くの別物になってしまう。
自分が我慢してその場を乗り切るコミュニケーション
自分の意見を通そうとするコミュニケーション
相手のために言葉を届けるコミュニケーションなどなど
「なんだかうまくいっているな」
と思う時は,相手にベクトルが向いている。
逆に,
「うまくいかんな,しんどいな」
と思う時には,ベクトルが自分に向いている。
①ベクトルが自分に向いている
「これをいったら相手にどうおもわれるだろうか。」
こんなふうに思っている時には,ベクトルは自分に向いている。
一見,相手にベクトルが向いているように見えるが
「相手にどう思われるか」の後には必ず,
「相手に自分が嫌われたらどうしよう」と
自分への周りからの評価を気にしている。
つまりベクトルが自分に向いているのである。
僕は,「なんだかコミュニケーションがうまくいかないな」
と思っている時にはほぼ100%自分にベクトルが向いている。
大学生のころ自分から友達を食事に誘うことができなかった。
「相手を誘って,これなかったら相手に断らせる手を煩わせてしまう。そして,相手が不快な気持ちになって,自分との関係が悪くなったらどうしよう」なんて,本気で考えていた。
ありがたいことに,友達にこの悩みを打ち明けたところ,
「考えすぎ。そんなんで離れていく友達なんていない」
と一蹴された。完全に思い込んでいた。
嫌われたくないと自分にベクトルが向いていた。
自分が思っているほど相手は気にしていない。
気にしているのは自分だけ。
②ベクトルが相手に向いている
つまり,相手のためになること,自分の思いを伝えている状態です。
相手のために遠慮をせず,でも配慮はする。このバランス感覚がとても難しいですができるようになりたいものです。
以下は,相手にベクトルを向いている時のメリットです。
・相手の悩みを心から聞いている
相手にベクトルが向いているので,「相手はなぜこの発言をしたのだろう」「お、ここでいま言葉に力がこもったな」など相手のことがより見えるようになります。その言葉を取り上げて,あいづちをうったり,共感をしたりすると「え,すごいきいてくれてる」「わかってくれる」という状態になります。相手は心から自分の悩みをきいてくれたと感じます。
・相手の考えや思いを引き出すことができる
「これすごくきになるんだけど,聞いて相手に嫌われたらどうしよう」これは,完全に自分にベクトルが向いている状態です。これだと,相手の考えや思いを引き出すのはおろか,話すら続きません。相手にベクトルが向いていると,自分の直感で感じたことを素直に質問すると,どんどん相手の考えや思いを引き出すことができます。
・相手の問題を解決できる
問題とは現実と理想のギャップです。「相手の悩みを心から聞く」状態や「相手の考えや思いを引き出す」状態が続いていると,相手の悩みの本質が見えて,理想に近づくためのするべきことが見えてきます。
「ダイエットしたい」人は痩せることが理想ではありません。「自分に自信をつけたい」と思っています。「ダイエットしたい」から「自分に自信をつけたい」というその人の本質部分に迫るためには,上記二つができている必要があります。相手の悩みを心から聞き,相手の考えや思考えから悩み・その人の本質に迫っていく。これができれば,タロットカードも水晶も使わない,だけどよく当たり人生を変えてくれる占い師になれそうですね。
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