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33.南インドの旅:コーチンのカタカリダンスで、古代の物語にタイムスリップする

 コーチンではインド4大舞踏のひとつ、カタカリダンスを楽しむことができる。カタカリダンスは、写真のように、デフォルメされた化粧と衣装を纏い、セリフは一切無く、表情、目の動き、手の動きで、物語を紡いでいく。男性の役も女性の役も男性が演じる等、歌舞伎との類似性、文化的つながりを議論されることもある、特異な文化を背景に発展してきた演舞だ。

 これはコーチン空港にある人形だ。カタカリダンスの物語はラーマヤーナやマハーバーラタの一節が多い。背後には上半身裸の男達が座り、笛や太鼓を幻想的に奏でる。そうして我々は、ゆっくりと古代の物語の中に入っていく。

 このシーンは、宮廷で侮辱を受けたドウラパティーが、クリシュナに復讐を訴え、クリシュナはドウラパティをなだめる、マハバーラタのシーンだ。ドウラパティ(右)の激しい感情、クリシュナ(左)の理性的な対応が、指先や表情、目の動きで巧みに表現される。

 舞踏の前には、メーキャップも見ることができる。演者が化粧と共に、徐々に異界に入っていく様子を見ることができるのはエキサイティングだ。共に没入していこう。

 コーチンの舞台では、カタカリダンスの他、他の様々な地域の舞踏や、ケララの伝統古武術、カラリパヤットウの激しい演技を見ることもできる。

 フォートコーチンの夜は、思う存分、タイムスリップを楽しんで欲しい。

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