自主制作映画の作り方・1 準備編

こんにちは。
映像作家・俳優の田代健二です。
今年の秋に自主制作の短編映画を撮る予定です。

今回は自主制作映画を作る上での企画。のさらに前、「そもそもの準備」について書いていきます。

自主制作映画を撮るにあたって、最も大事にすべきことは何でしょう?
それは「ちゃんと撮りきれるプランの下で、安全に撮りきること」です。

映像制作に関わったことがない方にとっては、超当たり前なことのようですが、この当たり前を実現するのが意外と難しいのです。
少し数字の話をしていきますね。
映画・映像の制作(=現場制作)では何にお金がかかるのかというと。主に機材のレンタル代にかかります。制作費の6~8割になることが多いです。特にカメラのレンズは高いです。ある商業映画に出演した際は、1千万円クラスのレンズを間近で見て、胸躍りました。(笑)
ある程度しっかりした画質・音質を求めるのであれば、一揃いレンタルしたら1日5~10万円くらいが基準でしょうか?

勘のいい方は、ここまで書いて少し予想がついたかもしれません。
映画・映像制作では、【撮影が1日伸びるだけで、5万10万くらいのお金は平気で飛んでいく】のです。
さらに現実的な人件費の問題もあります。スタッフ5人、キャスト5人の小さな座組であっても、人件費を1人1日1万円で考えたら……。しかも場所代だって、小道具だって……。おそろしいのでこのへんにしておきましょう(笑)
少しだけ撮影が延期する要因と対策について触れますね。

・雨が降ってしまった。→あらかじめ天気予備日を考慮しておく。
・撮影機材が一つ抜けてしまった。→機材のチェックは前日に数時間かけて、入念にしておく。予備が用意できるものは必ず用意しておく。
・キャストが遅刻してしまった。→あらかじめ集合時間に余裕を持たせておく。全員分のキャスト・スタッフ表を必ず作って、怪しそうな奴には乗換案内も含めてきっちり入念に通達しておく。
・撮影自体に意外と時間がかかってしまった。→ 画コンテ段階から撮影時間のことをきっちり考えておく。これはどうしても経験が必要。1カット10〜20分くらいが基準かと。

まだまだある気もしますが、とりあえずはこのへんで。
これら全部を一人でプラン・実行するのは、なかなか大変です。信頼できるスタッフさんがいるかいないかで現場+制作のスムーズさは全く違います。

「ちゃんとしたプランの下で、安全に撮りきること」の大切さが少しイメージできたでしょうか?

僕は俳優としての経験を通して、「映画制作はめちゃめちゃ金と人手がかかる」ということを体感的に知っていました。
それではどうしたかと言うと、

0. プロのスタッフを毎回雇う金は作れない。→自分で勉強しなければ!
1. 満足できる体制で作品作りをするため、約100万円貯めることを決意。
2. 機材屋に通って、ヒヤリングしながら、必要な機材を購入。
3. 映像系の大学に通っている友人や若手監督の下で、機材の使い方+監督としての動きを勉強した。

日々の仕事もしながらだったので、この4つにだいたい2年くらいかけました。今のところ「だいぶ、状況が整ってきたな!」というところです。

ほんと、「30過ぎた独身男が何やってんだ」と自分でも言いたくなります。(笑)

でも100万円って。今の僕にとっても決して安くない額ですが、人生が壊れるほどではありません。
調べ物をしたり、機材の講習会に行ったり、現場を手伝ったり、自分で触って確かめたり。
そういった時間を通して、人との関わり方やお金の使い方や物事の始め方、どんな生き方においても大事になってくる勉強がたくさんできました。そして、良い出会いもたくさんありました。そういう勉強代だと考えたら、むしろ安い方です。
やっぱり始めてよかったな。と既に思っています。
でも、まだまだこれから。これからです。

最後に、若い方に向けてちょっとメッセージめいたことを。

もし、あなたが自主映画を作りたいのなら、

「すげー金かかるよ。想像以上にかかるよ。他人に迷惑もかかることもあるから、いいかげんな気持ちでやっちゃ絶対ダメだよ」

と伝えたいです。そして、

「でも……あなたが本当に映画が好きなら。絶対苦労もするけど、そこでしか得られないもの、かけがえのない出会いもきっとたくさんあるよ。本当に本気なら。時々手伝い合いながら、一緒にがんばっていこう」

とも伝えたいです。

ちょっとクサい終わり方になってしまいましたが、本心だからしょうがない。
うーん……。まあいいや。(笑)

次回は企画編、企画の立て方について書いていこうと思います。

最後までお読みいただきありがとうございました!

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映像作家・俳優 田代健二
オウンドメディア:https://nexinema.com/
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