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奈良旅行4日目 ー 吉野山、そして室生寺に至る辛苦。

・吉野山ー如意輪寺、金峰山寺。

今日も快晴。朝6時台にJR前のホテルを出て、近鉄を乗り継ぎながら、約2時間かけて吉野へ。着いたら、なんと吉野のお寺へ繋ぐロープウエイは休止中だと。代替バスまで30分以上ある。困ったなと思ったら、観光施設の方が歩いても行けます、バスが着くまでには上に徒歩で上がれますと。おや、また歩き?ただ、できればぜひ見たいと思った後醍醐天皇の御陵があるお寺、如意輪寺へはなだらかなアスファルト中心の登りだとのこと。ラッキー。実際、登りは上りだが、割と楽めであったと思う。それほど苦労せず如意輪寺へと。でもそこへ至る吉野の山並みはやはり幽玄な気がしました。


 後醍醐天皇は建武の新政を試みて、すぐに上手く行かず、足利尊氏から逃れて吉野で親政を試みました。これが「南朝」で、尊氏は京都で後醍醐帝とは別の天皇を立てます。これが「北朝」で、時代的には鎌倉時代から次は南北朝時代と呼ばれます。のちに足利義満が南朝を北朝に一体化させ、室町時代ということに。
 で、南朝で踏ん張った、後醍醐帝のお墓というか、陵ですね。これが吉野の如意輪寺にあるというわけです。

楠木正成の子、楠木正行がここに所以があります。政成にしたがって南朝を守る誓いの楠木正行像。


次に多くの人がロープウェイでお参りする山岳修行のお寺、金峯山寺へ。ここはいわゆる修験道の聖地で、熊野からの入峯修行の始発到着点ですね。行ったときは本堂はおそらく遠足の生徒たちに法話中でしたが、最後に法螺貝の音を鳴らしてくれていまして、霊山らしい音ねでした。
 それから、ここにはかなり急な階段の下の下に「脳天大神龍王院」というのがありまして。足が疲れると思いつつも、自分の脳も診てもらった方が、というのはいやいや、半分で。実際はおふくろの認知症があまり進まないように、ということで行きました。降りる方が疲れる。


 金峰山寺の本殿に戻りますが、竜王の憤怒像というのも、いいものです。ふつうの仏菩薩は静かで内省的なお姿で、それが聖なるもの、高貴な印象を与えて有難い気持ちになりますが、霊山の修行寺に祭られる龍王憤怒の像を見てると、逆に人の活気、うちに潜む勇気、場合によっては必要な「アングリー」を忘れるな、と発破をかけられる気がします。

 お寺の近くにはやはり休憩どころ、茶屋や食事どころがあって、吉野名物「柿の葉寿司」を近くの神社の境内の中で食す。草の葉に鯖がネタになっていて、奥深い塩味。喉も乾いてポカリで乾く喉を潤しながら食べると滅茶苦茶うまい。


帰りはうまい具合に駅へ向かうバスに乗れました。歩いて降りようと思ってたがとんでもない。メチャクチャ細い道路をとばすし、かなり遠い。歩いて帰ろうなどとは無茶な思いつき。

⚫︎室生寺、そして自然道での辛苦。
 午後は室生寺に向かいます。こちらも中心から離れて、同じように1時間半くらいかかる。ただ、吉野の乗り換え口から途中でまた別の乗り換えに移動するので、吉野の帰りのほうが近い。
 室生寺大野というところで降り、まず大野寺という、これは磨崖仏が本尊のようなのですが、それを見た後、室生寺はどこへ?そこでたまたま近くにお住まいの人に聞いたら、「ここから6キロくらいありますよ。バス出てたかなあ」と。ええ〜と思いつつ、まあ歩いて行きますということで、道なりはざっくり教えてもらって、歩き始めた。大野川の途中の朱塗りの橋を渡って、橋も霊験な感じだし、もうすぐかと思い、しばらく行くと自然公園という標識が。そこを反対側の自然公園から出てきた犬を連れたご夫婦が敷地の立ち地図を見ていたので、「この自然公園の中から室生寺に行けますか?」と聞いたら、奥様は複雑な笑いを浮かべてええ、と。旦那さんが「いけるはずですよ」と言うので、ありがとうございますそれでは、ということで入ったらなんのことはない。
 「自然散策路」なんて優しい言葉に騙された。これはムチャクチャに自然古道ではないですか。最初は小川のせせらぎ。いいね、ウグイスの鳴き声とマッチするね。なんて思っていたらどんどん、どんどんこれは奥に入っていくぞ。これはあやしいぞ。あれだ、熊野古道をモロに思わせるぞ、と。もうここまでくると引き返すこともできず、完全に迷い込んだと言うか、古道に拉致されたというか。もう帰れない。行くしかない。これがもしかして女人高野か?
 ともかく心の準備がなかったので、「懺悔懺悔、六根清浄」と唱えながら歩きに、歩く。とにかく目印になるものが何ひとつないことの不親切というか、自然道の感が半端ない。上りもあれば、急な下りもある。足元は石の道だけど、丸石がゴロゴロだけなところもある。とにかく足をひねったりするのが一番怖い。だんだんあるくことだけに集中する状態。


かなり歩いて、やっと反対側に八人くらいの中年女性を中心としたハイキングのグループに出会う。「あとどれくらいあるでしょう?」「まだ半分くらいじゃないですか」「げっ。なら室生寺までどれくらいです?」「あと1時間くらいじゃないですか」「1時間!マジですか?それはやばいなあ」時間が気にかかる。別の女性が「そういえばあすこは4時半までの入館だったかしらね」と。わかりました、ありがとう。「気をつけて」。こっから先が大変だった。道なりがかなり急な上り坂。そして加えて足場がかなり悪い。熊野古道のように事前の心の準備が全く整っていないのはまずかった。そして最悪なのは水分にをまったく持っていないことだった。気温はかなり高いし、汗も吹く。とにかく意識を変えて、室生寺のことはもう良しとして、まずはこの古道を抜けることを考えようと。とにかく“六根清浄、懺悔懺悔”と歩くことに集中する。で、いろいろあるけど、どうやら山のてっぺんらしきところにまで来て、ここから先は急な下り坂の連続。下りはある意味上りよりも危ない。滑って転んだりしたらたいへん。身体が前傾になるので、どうしても足の親指に負担がかかる。やっと遠くに小さな集落が見え、自然道を脱出することができた。

そこから先、2回くらい室生寺に行く道が二股で迷っていると、機械で草刈りをしていた高齢の男性が手を休めて、ここを真っ直ぐにいきなさいと。室生寺ですね?というとうなづく。ありがとうございます。あるいは外に出ていたおばあさんがまた、「この道をまっすぐ行けばいいよ」と教えてくれた。ありがたや。でも本当に民家の間なのです。



なんとか室生寺へ。あれはやはり女人高野道じゃないのか。4時過ぎに境内に入ることができたが、バスのラストは4時40分だという。まずい、40分しかない。迷うとたいへん。とにかく駆け足で各棟を拝観しよう、一番極まって奥にある奥の院は諦めて、五重塔から。やはり女人高野のお寺のため、お寺自体がけっこう急な階段が多い。五重塔から駆け足でめぐる。名刹が多いのだが、残念だがじっくり見るゆとりがない。上から下へ、見れる御堂は何とか見て、一番国宝が多い本堂にはテレビ取材が入っているようで、お坊さんがゲストに対して話をされていた。そのため、動き方を僧侶さんに指導された。そういえば、この本堂も別の金堂も、女性、尼さんであることに気づいた。さすが女人高野であった。ちなみにおそらくお寺の一番偉い方に話を聞いていたのは、武井壮のような気がしたのだけども……。勘違いかもしれないけど。

長くなりました、すみません。とにかく今日の午後は古道のプチ、ミニ、山がけ修行というところで。吉野山がそうなるかと思っていたが、意外にも室生寺の方で食らうとは思わなかった。

ちなみに帰りの近鉄室生大野駅までのバス代は460円だった。それなりの価値はあったと思います。
(旅行四日目)

おまけ:東日本震災チャリティ特別室生寺仏像の仙台での拝観展イベントでの親善大使として『見仏記』という活動(?)でお馴染みのみうらじゅんと、いとうせいこうの室生寺の神将などの紹介トーク番組です。『見仏記』は関西ローカル番組なので、残念ながら札幌では見ることはできませんが。いくつかYouTubeに上がっているし、奈良のお寺を紹介している番組や映像は多いので、少しずつ忘れないように復習したいと思っています。

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