映画鑑賞#2『哀れなるものたち』
Day:2024/3/1
Theatre:OSシネマズミント神戸
雑記も書いてますので映画についてのみ読んでくださる方は飛ばしてちょんまげ
↓
3月1日
予告編を観て気になっていた『哀れなるものたち』を観に行く
毎月1日が映画が安い、なんてことも知らないくらい映画から遠い僕だけど今年から積極的に観ていこうという気持ち
予告編で気になった点は
「死んだ妊婦の脳にお腹の赤ちゃんの脳を移植する」
というぶっ飛んだ設定と
「マーベルのハルク役(ブルースバナー役)の俳優が出てる」
こと(僕はマーベルだけは観てきた)
ちょうどいいのが12:50のミント神戸だったので、朝から三宮へ
サン地下の「サヴォイ」でカレーを食す
初めていったけどここはメニューが「カレー」しかない
店に入るなり店員に聞かれるのはメニューではなく、ご飯の量のみ
前々からチョコは「チョコ」だけでいいし
グミは「グミ」だけでいいし
タバコは「レギュラー」と「メンソール」の2種類だけでいい
と感じていた僕にとってはドンピシャなカレー屋
その後少し時間があったので
元町のレコード屋へ
そんなに多くはないものの思ったよりも量があったのでディグってる間に映画の時間が迫る
神戸を知る人は元町とミント神戸の絶妙な距離感をわかってくれるはず
カンコーレコードは有名どころを多く揃えているレコード屋だったが
オリジナル盤も結構豊富でまた行こうと思えるナイススポットだった
一枚買おうと決めて、ペンタングルの70年4th『クルエル・シスター』とライクーダーの78年『Jazz』で悩んだあげくライクーダーを購入
この間このnoteでも書いたThe United States of Americaやフィールドヒッピーズのジョーバードがプロデュースしてるってのでずっと気になっていた『Jazz』
電子音楽の住人であるジョーバードと、ルーツ系スライドギターの名手ライクーダーがどう絡むのか、楽しみ
また書きます
そんなことで上演時間待ったなし、買ったレコードを片手に早歩きでミント神戸へ
映画デーである1日ということもあってか中々の動員
本当に時間すれすれ、いやギリギリアウトだったので予約していた席ではなく入り口から近い席に滑り込む(ごめんなさい)
『哀れなるものたち』
(ネタバレ含む)
まずR-18指定とのことだけど、多分そもそも僕はR-15ですら観たことがなかったような気がするんです。見終わってから振り返ってみたことだけど。
記憶が正しければ僕が最初にR指定を認識したのは2000年の『バトルロワイヤル』で、漫画の方を少し読んで(グロでもエロでも小学生当時衝撃の作品だった)、「こんなものの実写映画なんて観れるはずがない」と感じたのを覚えている(未だ観れず)。
この少年時代に感じた「R指定のものは観れない」という認識は15歳を超えても続き、無意識に遠ざけて生きてきた。
とはいえここ10年くらいR指定作品がめちゃくちゃ多いのは気のせいだろうか?
子供のころは、R指定を見かけるといちいち「あ!!!!」と思ったもんだが、最近は「ふーん」としか思わないくらいにR指定だらけな気がするんだけど。
そんなこともあってかあらずか、今回「ふーん」って感じで軽く『哀れなるものたち』を観にいってみたわけだ。
いやーやっぱ伊達じゃないのねR指定って。しかもR-18やん。
こんなにグロいん、ちょっときつかったですね。
エロはね、僕ももういい歳なのでまぁばっちり耐性ついております。「ふーん」です。
グロは、全くついてなかったみたい。映画ってここまで表現してえーのん、ってびっくりしました(序盤ベラがぐさぐさするとこです)。
R指定、再び危険視して生きてゆきます。
で、作品自体ですが、面白かったです。奇妙な映画だけど。
舞台は19世紀末ヴィクトリア時代のイギリス、ロンドン。
「ゴッド」と呼ばれる医者が若い妊婦の死体を拾って、お腹の子供の脳みそを死んだ母親に移植する、というとんでもサイコなお話。
まず、その医療技術がめちゃくちゃSFなわけだし、他にも色々、街の背景なんかでも明らかにSFな技術が登場するんです。でも舞台は19世紀末で、その空気感もちゃんと漂っていて。
それが妙に気持ち悪いんですよね。未来であるか、地球じゃないか、そうであればSF映画としてすんなり入ってくるものがとっても歪なんです。面白い。
成人女性の体と赤子の脳を持ったエマ・ストーン演じる主人公は「ベラ」と名付けられ、ゴッドの屋敷で育てられるわけなんですけど、とにかく知能の上達速度が速くて。
これがなんでなのかよくわからないんだけど、本来体の成長に使われるはずのエネルギーが全部脳に使われてるんかな、となんとなく納得。
こういうSFものって、だいたい人外のものが登場するわけで。宇宙人だったりロボットだったり、今回は改造人間フランケンシュタインなわけで。
そういう人外のものを描くことで人間とはなんたるかを語る手法(人ではないもので人の輪郭を浮き彫りにする手法)は結構好きなので、そこが1番興味深く面白いところでございました。
ベラってのはとにかく知性だけが急速に成長するんです、倫理を置いてぼりに。
つまりは倫理は知性と結びつかないところにある、とこの映画では言ってるわけで。
僕らは知性を得るとともに倫理を身につけていくわけだけど、それは知性によるものではなく「世界(社会)への慣れ」みたいなもので。
めちゃくちゃ性悪説的映画です。
ただ、倫理を持たないベラが知性によって世界を「改善」しようとするんですよね。それがとにかく興味深かった。
例えばベラはある日快楽を覚えて、人前でオナニーをおっぱじめるんです。それは誰もが知る通り倫理的にはNG、でも知性的には全く問題ない行為だというわけで。
でもベラは貧困層が虫ケラのように死んでいく様を目の当たりにして狂ったようにわめきちらかし「改善」しようと叫ぶんです。世界では当たり前のこととして扱われてることが「知的なことではない」と感じるわけです。
現実にも毎日どこかで貧困を原因に大勢が死んでいってるわけで、それを改善できてないことが知的生物として間違ってる、ってわけです。
とにかくベラという極端な生物を目の当たりにして、人間というものの正体を浮き彫りにしていく、そういう作品は好きです。
僕にとってはこの映画はこの一点張りで、何やら結構フェミニズムの観点で評価されてたりしてるみたいですが…
正直僕にとっては男とか女とかじゃなくて、とにく「人ならざる者」だったのでベラが。だからフェミニズムがどうとかまで考え及ばなかったです。
しかし人ならざる者だけど感情移入していってしまうのは確か。映画の力でござんすな。
あと僕の知る数少ない俳優である(エマストーンですら観終わってからララランドの人って知るという始末)マーク・ラファロ。ハルクのブルースバナーの人。
めちゃくちゃ情け無い役でしたね。笑
なんか予告編で雪道で天を仰いで「ベラー」と叫ぶシーンがあるんです。なんとなく感動的な恋愛的な重要シーンなのかなーと見えるカットなのですが、蓋を開けてみるとめっちゃ情け無いシーンで笑っちゃいました。
そう、エンディングもそうですが笑っちゃうとこ多かったんです。コメディでもあるんです。
そんなことで全体通してとにかく奇妙でした。
こういう映画って知らないけど、めっっっっっっちゃB級映画的だと思ったんです。でもそれを金獅子賞取るまでにしたのはやっぱ監督のヨルゴス・ランティモスの凄さなんでしょうな。あとエマストーンの天才的演技力か。
設定からしてB級カルト映画の匂いがぷんぷんするのに、めっちゃ奇妙すぎて美しすぎる世界を作り上げてるんですよね。絵として観てて楽しいシーンがたくさんあったり。
あと音楽!19世紀のヨーロッパって感じの王宮音楽っぽいのが基本なんですけど、音楽もめっちゃ奇妙なんですよねずっと。引きずり込まれます。エンドロールで流れてた曲、〝クリムゾンキングの宮殿〟っぽかった。
そんなことで帰ってからランティモス映画観てみたんです。なんかやっぱ不気味な映画を撮る人で有名みたいで気になって。『聖なる鹿殺し』と『女王陛下のお気に入り』を。
『哀れなるものたち』と同じくランティモスとエマストーンのコンビ作品である『女王陛下のお気に入り』はまだしも、『聖なる鹿殺し』はほんまに理解不能でした。
ちょっと映画初心者にはランティモス作品は難しいのかもしれません。
そう思うと『哀れなるものたち』も全然ちゃんと観れてないのかも、と落ち込む始末。笑
もう一回観たいです。グロシーンは目を瞑って。原作の小説も読んでみよかと。
映画、面白いですね。ほんとに映画に関しては赤子なので、色々観ていこうと思います!
毎月1日が安いことをしったのでできれば毎月一本!!
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