(詩)星座

わたしがわたしになるまでには
たくさんの人からもらった
たくさんのかけらが必要だった
ちっぽけなわたしには
六等星のかがやきもない
だれかの輝きがないと
見つかることもないような
光ることをしらない
ちいさな惑星ですらあった

わたしがわたしであるためには
わたしだけで何もできなかった
すれちがいをくりかえす星々の
ふしぎな引力のまじわる線
それがみちびく運命のすじが
おぼつかないわたしたちを
星くずたちをゆるやかにたばねて
ひとつひとつかけらたちを
くらい空においでおいでしてくれた

わたしがわたしをしるためには
わけもわからずこぼれる熱いあせと
いつもしぜんとあふれる苦いなみだが
いたみといっしょに必要だった
みんなで気持ちをうけとめつむぎあう
そのときのてのひらの重み
やわらかないっこの手ざわりが
暗やみにやさしくゆくさきを
照らしてすすむかてになった

わたしがわたしになるために
わたしたちがえらんだ道たちが
最後のひとかけらをよびよせる
かけらたちが星座になって
いまのわたしたちを示して
ここにあるあしたを結んで
わたしたちはやっと
ちゃんとわたしになれた
大丈夫だよとたしかめあうように
てのひらをきゅっと握って
星くずのなぎさになみだをとかして

六等星たちのつないだてのひらが
たとえ離れてとおくへいったって
星々をわたるかぜのように
思い出がさよならもなくすぎたって
わたしの愛したあなたは
みんなのひとみにいたわたしと
こころとからだの中でゆたかに
星のまたたきのようにゆれつづける
わたしたちの血が
むかしは星くずであったように
にどと離れることはないでしょう

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