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私的詩手帳

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#時計

(詩)九時十七分

娘を連れて
生まれ育った街を訪れるたび
彼女は無邪気に言う
止まった時計も一日に二回
正しい時を指すと
そのたび私は釘をさす
残念だけどその言葉は世間的に
あまりいい意味じゃないんだよ

まだまだ気ままに動かんとする
小さくやわらかな左手を
離れないよう右手で包みこんで
黒い石畳を歩く
人もまばらな広場に面して
屹立する時計塔
九時十七分を指したまま
百年くらい止まったまま
ぼくが知ってた姿のまま

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