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【映画レビュー】シネマ小並館

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映画(特に旧作)のレビュー。
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記事一覧

シネマ小並館 その16:伝説の果て、文明の向こう 『マッドマックス/サンダードーム』(星3.4)※ネタバレあり

マッドマックスシリーズレビュー、今回は第三作の『マッドマックス/サンダードーム』。

荒野をさまよう最中、飛行機乗りに移動手段と財産を奪われるマックス。追跡の中で物々交換により栄える『バータータウン』へと流れ着く。街に入り賊を追い詰めるため、自分の腕っ節を差し出すも、バータータウンの主導権を巡る権謀術数に巻き込まれ、挙げ句何も取り戻せないまま砂漠へと身一つで放逐されてしまう。マックスは砂漠の果てで

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(暫定公開)シネマ小並館 その15(後編):『マッドマックス2』見どころ箇条書きレビュー

マッドマックス2のレビュー第二弾。今度は最初から最後までの見所を時間軸にそって書き出す『箇条書きレビュー』をば。実写版デビルマンでやりかけて頓挫したけど、今度は最後まで書きたいところ。
でもちょっと長くなりそうなので、まずは中盤までを暫定公開してお茶を濁そうかと()

・オープニングはナレーションで世界観、というか劇中の現在に至るまでの状況がされる。
・前作では『現在から数年後の未来』であること、

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シネマ小並館 その15(前編):『マッドマックス2』評 ~V8の呪縛から解き放たれるマックス~(星4.5)

前回に続いて、マッドマックスシリーズのレビューをば。今回は2。好きすぎるので、『V8との関係性に主軸を置いたレビュー』と『箇条書きレビュー』の前後編二本立てでいきたいと思う。

まず評価から書くと、星5つ中4.5。間違いなく自分にとっての『心の映画』である。観たのは今年に入ってからだけど。

エネルギー危機と戦争を経て文明の崩壊した未来。男一人と犬一匹、V8のインターセプタで荒野をさまよい続けるマ

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シネマ小並館 その14:秩序の果て、力の向こう 『マッドマックス』(星3.3)

つい最近、『マッドマックス 怒りのデス・ロード』が各配信サイトで配信開始された。公開当時から『ヤバい』と評判だったので気になりまくってたことからすぐさま配信版を購入して観てみたが、本当にヤバかった…

ということで『怒りのデス・ロード』をレビューしたいと思ってるんだが、その前にマッドマックスシリーズを第一作から観返してレビューしていきたいと思う。

まずは第一作の『マッドマックス』。
エネルギー危

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シネマ小並館その13(頓挫): 『実写版デビルマン』を序盤だけ逐次ツッコミ(星1.5)

公開当時からあまりにもひどいと言われ続けてきた『実写版デビルマン』。どれだけひどいのか見てみたい気持ちもあったが、時間と金を無駄にしたくないという思いから今まで見ずにいた。

しかし最近のコンテンツの価格破壊というのはすばらしいもので、500円ちょい毎月払ってれば映画の旧作が見放題になったりもする。
だから、単品レンタルならぜってー金払ってでも見たいと思わないような作品でも、手軽に手を出せるように

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シネマ小並館 その12:苦難の波と、苦難を洗い流す波 『ビッグ・ウェンズデー』(星3.8)

まだレビューには書いてないが、『ロード・オブ・ドッグタウン』という映画が好きだ。いや、好きすぎる。
現在のスケートボードの基礎を作った集団『Z-ボーイズ』の日々を描いた映画で、青春映画の中では一番好きだ(もっともあまり青春映画を観てないからなのかもしれないが)。70年代中盤の空気感、ろくでもないけれど輝いている日々、主人公三人が袂を分かちそれぞれの道を歩き、最後には合流するところ、そういった要素が

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シネマ小並館 その11:親方!空から光が! 『スカイラインー征服ー』と『ダーケストアワー 消滅』

今回は、シチュエーションがよく似た二作のレビューを書いてみる。どう似てるのかはとりあえず後で(って記事のサブタイで少しバレてるが)。

グダグダだがVFXはグー。燃えるラストがもう10分20分早ければ… 『スカイラインー征服ー』(星3)dTVで視聴。友人の誕生日パーティのためにLAにやってきたカップルが、突如現れた地球外生物の侵略から生き延びるため居合わせた人間とともに苦闘する、という映画。侵略は

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シネマ小並館 その10:街と男と女の重力場 『シン・シティ』星3.5

dTVで視聴。基本的にロバート・ロドリゲスの映画はハズレなしと思う程度には好きなんだが、これはまだ観てなかったので(というかまだまだ観てないのはある)。ってこの映画の場合は原作者のフランク・ミラーとの共同監督作だけど。

この映画は、通称『シン・シティ』を舞台にした『一夜を共にしその夜に殺された行きずりの女の仇討ちをする荒くれ者の話(マーヴ編)』、『警察と武装娼婦との抗争に翻弄される男と女の話(ド

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シネマ小並館 その9:信頼がもたらす自由 『ヒックとドラゴン』 星3.9 (2についてもちょっとだけ)

先月くらいにちょっとした事情でGoogle Playにてレンタル視聴したら見事にツボってしまい、いつか買い切りで買おうかと思ってたらdTVの見放題配信に入ったので嬉々として再見。

時々ドラゴンの襲撃を受けるバイキングの島で、ヘマばかりの鬱屈した日々を送る貧弱少年ヒックは、ある日誰も姿を見たことがないとされるドラゴン『ナイトフューリー』を手製の機械で撃墜する。とどめをさせずにいるうちに、手負いで逃

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シネマ小波館 その8:ツッコミどころとエログロスプラッタシーンとアクションの波状攻撃『デッド寿司』(星3.4)

GYAO!で視聴(2015/8/9まで視聴可能)。
じつはGoogle Playで映画を漁ってるときにバカなタイトルだなぁと思って予告代わりに公開されてる冒頭を見たものの、ナレーションでの説明が続く冒頭に『おもしろくなさそうだなぁ』と判断して視聴には至らなかった。
でもツイッターで『アクションがキレッキレで面白いしGYAO!で無料配信されてるから観てみろwww』的なツイートを観て気になったのであら

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シネマ小並館 その7:幻惑的映像、ジャンキーたちのじゃれあい、そして重い罰 『スキャナー・ダークリー』(星3.5)

数年前に観て以来、たまに観たくなる映画(とはいえ今回で二回目という程度だが)。酔った勢いでGoogle Playでレンタル。

互いの顔や素性を見せない薬物関係の捜査機関で、潜入捜査官がひょんなことから潜入捜査中の自分を監視させられるハメになり、また捜査の過程で自身も薬物『物質D』にハマってしまったことで、潜入捜査官としての自分とそうでない自分とが乖離し…という話。

特徴的なのが、この映画が全編

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シネマ小並館 その6:止まり木から飛び立つ女と落ちる男 『ラストタンゴ・イン・パリ』(星3.2)

dTVで視聴。前に同じベルトルッチ監督『シェルタリング・スカイ』を観てたので、流れでこれも観ておこうと思って観た次第。

フランスはパリ。とあるアパートの空き部屋で出会い、交(まぐ)わった中年男と若い女。それをきっかけに同じ部屋で、ただの男と女として何度も逢瀬を重ねる。男には妻に自殺されたという事情があり、女は恋人から求婚されていた。そしてそのうち二人の心はすれ違い、悲劇的な最後が…という話。

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シネマ小並館 その5:深い哀愁のおっさん二人『イギリスから来た男』(星3)

dTVで視聴。とりあえずソダーバーグの映画は『ソラリス』くらいしか観てないので観てみた。原題は『THE LIMEY』で、意味としては『イギリス男』的な感じらしい。邦題は原題とそんなにかけ離れていないっぽい。

アメリカ在住の娘が事故死したと聞いてアメリカまでやってきたイギリス男。その死に疑いを持ち、娘の友人とともに背後関係を探ると案の定…といった話。

しかしテレンス・スタンプ演じるウィルソンが渋

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シネマ小並館 その4:仮面の下の素顔が、物語を語りはじめる『V フォー・ヴェンデッタ』(星3.5)

前から気になってはいたが、なかなか観る機会がなかった映画。Google Playのレンタルで視聴。原作は成年向けのアメコミで、脚本はウォシャウスキー兄弟(のちに姉弟)。

国内ではいい評判も悪い評判も聞かなかったので、正直あまり期待はしてなかったんだが、これは期待した以上に面白かった。
内容としては『全体主義を突き崩すヒーロー』のお話。怪傑が大活躍するようなベッタベタな感じなのかと思いきやそういう

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