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2023年4月施行改正省エネ法において留意すべき定期報告制度

牛島総合法律事務所 Client Alert
2022年6月17日号


環境法:
2023年4月施行改正省エネ法において留意すべき定期報告制度

パートナー 猿倉 健司

2022年5月20日に、「エネルギーの使用の合理化等に関する法律」(以下「省エネ法」という。)の改正が公布されました(2023年4月1日施行)。

経済産業省から公表されている、改正省エネ法の主な改正点は、以下のとおりです。

  1.  省エネ法の名称が「エネルギーの使用の合理化及び非化石エネルギーへの転換等に関する法律」に改められる。

  2.  我が国で使用されるエネルギーの相当部分を化石燃料が占めていること、非化石エネルギーの利用の必要性が増大していること等の経済的社会的環境に応じたエネルギーの有効な利用の確保を目指して、これまでの「工場等、輸送、建築物及び機械器具等についてのエネルギーの使用の合理化」に加えて、「非化石エネルギーへの転換」を進めるための措置を講じる。

    • これまで省エネ法の対象とされていた化石燃料(原油及び揮発油(ガソリン)、重油、その他石油製品、可燃性天然ガス、石炭及びコークス、その他石炭製品等)に加えて、改正省エネ法においては、エネルギーの使用の合理化の対象に、非化石エネルギー(水素・アンモニア等)も含まれることになります。

  3.  特定事業者(事業者全体のエネルギー使用量(原油換算値)が合計1,500kℓ/年度以上となり指定された事業者)等に対して、非化石エネルギーへの転換の目標を達成するための中長期計画(非化石エネルギーの利用割合の向上、製造プロセスの電化・水素化等、購入エネルギーの非化石化等の計画)、及び、非化石エネルギーの使用状況等の定期報告書等の提出が新たに求められる。

    • これまで特定事業者等は、その対象を化石エネルギー等として、毎年度、エネルギー使用合理化(削減)の目標達成のための中長期計画書、及び、エネルギー使用量、エネルギーの使用に伴って発生する二酸化炭素の温室効果ガス算定排出量、エネルギー消費原単位、電気需要平準化評価原単位とそれらの推移、エネルギーを消費する設備の状況等を記載した定期報告書を提出することが求められていました。

省エネ法においては、定期報告の懈怠又は虚偽報告には、50万円以下の罰金が科せられることになっています(両罰規定あり)。

なお、省エネ法と同じくCO2削減達成のための規制として、温室効果ガスの排出量等の定期報告を求める「地球温暖化対策の推進に関する法律」(温対法)や、都民の健康と安全を確保する環境に関する条例(東京都環境確保条例)その他の条例において、同趣旨の改正がなされることも想定されることから、注視していることが必要となります。なお、条例は、都道府県のみならず市区町村にも存在することから注意が必要です。

(参考資料等)


弁護士  猿倉 健司 

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牛島総合法律事務所  Ushijima & Partners
E-mail:
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