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弁護士が見た〝中国人スクラップ業者〟問題の法的見解 ~千葉市再生資源物の屋外保管に関する条例、スクラップヤード条例と別府マンション事件ほか~

再生資源物の屋外保管に関する猿倉健司弁護士のインタビュー記事が「MIRU -Metal・Information・Resources・Universe- 」に掲載されました。

全国初の千葉市条例のポイントは? 弁護士が見た〝中国人スクラップ業者〟問題の法的見解
~千葉市再生資源物の屋外保管に関する条例、スクラップヤード条例と別府マンション事件ほか~


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 スクラップ事業場の設置について、立地や保管基準を設けた許可制を採用した全国初のケースというのが最大の注目点。
 基準内容は保管施設が住宅、学校などの敷地から100m以上離れた土地で一つの保管体の面積が200㎡以下、屋外保管物の高さは5m以下で勾配50%以下など。
 違反した場合、刑事罰を設け、1年以下の懲役または100万円以下の罰金(罰則施行は2022年5月1日)が課される。

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そんな残念な状況に一筋の光明をもたらす「画期的な裁判の判決が平成19年に出たんです。千葉市のトラブルケースとは少し遠いかもしれませんが」と説明する。大分県のあるマンションの住人が、バルコニーの手すりのぐらつきなどの建物の瑕疵の責任について、直接契約関係のない施工会社らに対して訴訟を提起し、最高裁判所が責任を認める判断を下した「別府マンション事件」だ。

 「それまでの類似のケースでは、ある建物建築について施工会社や設計事務所の契約の当事者は発注した施工主(注文者)になるため、直接契約関係のない住民(賃借人)、隣人、建築後に施主から当該マンションを中古で購入した者は、実際に事故が起こらない限り瑕疵の責任を追及できませんでした。
 これに対して、この裁判では最高裁がはじめて、住民や隣人などが直接契約関係のない施工会社や設計事務所に対して瑕疵の責任を追及できることを認めた画期的な判決でした。
 建物という周囲の人間の生命・身体・財産に重要な影響を与える建物を建築する施工会社らは、基本的安全性を備えた建物をしっかりと作りなさいと判断したものであり、これ以降の不動産にまつわる裁判ではこのロジックに従う裁判例が大勢となっています。」

 「実際に事故が起こっていなくても、施設が基本的安全性を備えておらず危険な状態であると判断されれば民事訴訟において責任追及ができることになるということです。
 そのため、違法なスクラップ保管業者に対してもこういった根拠をもって損害賠償請求等の責任を追及していくことが考えられます。
 周辺住民が責任追及できる途があり、これに加えて条例が実効的なものになれば、違法業者は排斥され、より暮らしやすい将来に繋がるのではないかと思います。」

 

 詳細は以下のリンクを参照してください。
 ただし、会員向け記事となっております。


猿倉健司 弁護士(牛島総合法律事務所パートナー)

第二東京弁護士会環境法研究会メンバー
2003年早稲田大学法学部卒業
07年、弁護士登録(第60期、第二東京弁護士会所属)、同事務所入所
主な著作に、「不動産取引・M&Aをめぐる環境汚染・廃棄物リスクと法務」(清文社、2021年7月)、「不動産業・建設業のための改正民法による実務対応-不動産売買・不動産賃貸借・工事請負・設計監理委任」(共著、清文社、2019年5月)、「不動産再開発の法務〔第2版〕―都市再開発・マンション建替え・工場跡地開発の紛争予防」(共同執筆、商事法務、2019年8月)
その他論文、講演・セミナー多数
趣味はロシアの人気小動物キャラクター、チェブラーシカのアニメ鑑賞


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