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投資助言業登録が必要となるか否かの判断の留意点

牛島総合法律事務所ニューズレター
『投資助言業登録が必要となるか否かの判断の留意点』

猿倉健司(牛島総合法律事務所パートナー弁護士)


1. 提供する投資関連情報の内容について

(1) 投資助言業規制の概要(金商法28条3項、2条8項11号等)

(2) 投資助言業規制に該当するかどうかの判断基準

① 株式(有価証券)の場合
② 有価証券以外の金融商品の場合
③ 暗号資産(仮想通貨)の場合

(3) 実務上の留意点

上記のとおり、言及する商品が有価証券(株式)かそれ以外の金融商品かによって、当該商品の価値(値動きの動向や将来得られる利益)について助言するだけで投資助言業登録が必要となるのか(上記(2)①)、当該商品の価値の分析に基づく投資判断(売買の判断)まで助言する場合にのみ投資助言業登録が必要となるのか(上記(2)②)の違いがある。
たとえば、株式について株価の動向についてのみ言及し、投資判断に関する言及(売り買いのアドバイス等)を避けた場合であっても、投資助言業規制の対象となる。
また、いずれの場合にも、特定の商品について値動きの動向・将来得られる利益について助言すると解釈されるような行為については、(それを意図していないとしても)投資助言業登録が必要となる可能性が出てくることから、そのような投資関連情報の提供は避ける必要がある。
たとえば特定の株式の現在の価値(将来の値動き動向)を評価・判断する材料となりうるとして(過去の値動きをもって、現在時点における株価の動向を間接的に助言しているととらえられるようなケースが想定される)、やはり投資助言業登録が必要となる可能性がある。

2. 投資関連情報の提供方法について

(1) 投資助言業規制に該当するかどうかの判断基準

① 不特定多数の者が誰でもいつでも自由に内容をみて判断して購入できる状態にあること
② 単発での購入・利用を受け付けていること
③ 個別性・相対性の高い投資情報を提供しないこと


(2) 実務上の留意点

上記のとおり、例外的に投資助言業登録を要しないというためには、少なくとも不特定多数の者が誰でもいつでも自由に内容をみて判断して購入できる状態にあること(上記①)、単発での購入・利用を受け付けていること(上記②)が必要となる。
また、金融庁指針で「直接業者等に申し込まないと購入できないレポート等の販売等に当たっては、登録が必要となる場合があることに留意するものとする」とされていることから、これらの要件をどのようにクリアするかが問題となる。
実務上は、投資情報に関する有料メールマガジンについて、読者登録を要する場合には投資助言業登録が必要となると考えられており、また、単発契約(売り切り)ではなく月額課金方式の場合には投資助言業登録が必要となる可能性が高いと指摘されている。
かかる考え方によれば、インターネットやセミナーを通じて投資情報を提供する場合についても、動画視聴やセミナー受講のために会員登録をする必要があり、単発での受講ができないという場合、(会員登録が必要となり)月額料金・年額料金が課されてしまう場合には、投資助言業登録が必要となる可能性が高いことになる。
そのため、以上を踏まえて個別の投資情報の提供サービスを構築することが必要となる。


猿倉健司(牛島総合法律事務所パートナー弁護士)


(参考)

「環境ファンド・自然エネルギーファンドと事業型ファンドの組成において留意すべきポイント(前編)」(BUSINESS LAWYERS・2020年12月11日)


「環境ファンド・自然エネルギーファンドと事業型ファンドの組成において留意すべきポイント(後編)」(BUSINESS LAWYERS・2020年12月18日)


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