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「森林事業」とはなんだろう?

サイプレス・スナダヤ、中部電力と釧路で製材工場を計画
大林組のグループ会社で製材大手のサイプレス・スナダヤ(愛媛県西条市)は、北海道釧路市に製材工場を新設する計画をまとめた。中部電力と共同で新会社を設立して、日本製紙釧路工場跡に工場を建設、2027年4月に稼働させたい考えだ。投資額は約200億円と見込み、80〜180人程度の雇用を想定する。
新会社はスナダヤが約80%、中部電力が約20%を出資する計画。中部電力は25年度までの中期経営計画で新成長領域の1つに森林事業を位置づけている。
21年に撤退した日本製紙工場跡の約90万平方メートルのうち約19万平方メートルを賃貸して新工場を建設することを計画する。トドマツを中心とした道産材を原木として、住宅建築用の集成材などを生産する。
当初は年間10万立方メートル程度を調達、3年目に36万立方メートル、最終的には50万立方メートルまで拡大したい考え。年間150億〜160億円の売上高を計画する。
今後、親会社の大林組と協議の上、24年9月末までに結論を得たい考え。

2024年3月27日:日本経済新聞 愛媛版

製材大手のサイプレス・スナダヤ。少し前に大林組が親会社となって話題になりました。
業界紙でも注目されていて、特に、記事に書かれているだけの道産材を本当に集荷できるのかが焦点になっているようです。既存の調達ルートに良い悪いは別として大きなインパクトを与えるのは間違いないところ。本当に計画通り操業が始まれば、の話ですが。

それとは別に気になったのは、中部電力が20%出資する計画になっている点。北海道と中部電力というつながりには直感的に違和感を感じるが、同社の中期経営計画(ビジョン2.0)を見てみると、「まちおこし」がキーワードとして挙げられ、日ハムの本拠地「エスコンフィールド」のネーミングライツを同社子会社である日本エスコンが取得していることもあり、実は既に縁ができている。下記リンク先の32ページを参照。
ビジョン2.0実現に向けた各事業領域の取り組み(中部電力)

もちろん上記の製材工場は「まちおこし」ではなくて、「森林事業」の一環なのだが、ここで「森林事業」が何を意味しているのかが良く分からない。上記のリンク先31ページに資源循環の取り組みの一環として森林経営が挙げられているが、フリー素材のイラストがおかれているだけで、その内容がまったくわからない。製材工場に対して出資するということなので、森林事業には森林経営だけでなく、木材製品の製造も含まれているということなのだろうが、電力会社が取り組むにはだいぶ畑違いのような気がする。僕が投資家であれば、このような出資を行う企業に対する投資はちょっと考えてしまうかなあ。ぜひ、「森林事業」が森林のサプライチェーンのどこの段階を対象にしているのかを明確にしてもらい、期待するリターンの公表をしてほしい。

異業種から森林事業に参入する手っ取り早い方法として、森林ファンドへの参加が考えられる。昨年、住友林業グループが中心となって森林ファンドを組成したことが話題になったが、これよりも踏み込んだ形で森林事業に取り組もうと考えた背景もぜひ知りたいところ。

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