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【ビートルズ「栄光の陰に隠れがちな名曲」10選(最終回)】

  1. Sexy Sadie" (1968) - Lennon

『ザ・ビートルズ』(The Beatles)収録。

ある人への軽蔑や皮肉を込めたこの曲の背景について、僕には詳細を語るほどの知識も興味もないので割愛する。

ただ面白いことに、そういう曲なのに(もしかしたらそういう曲であるからこそ)抜群に美しいメロディになってしまったりするから音楽は深いし、人の心も複雑なものだと感じさせられてしまう。

この曲を初めて聴いた高校生の頃の自分にジョンの心情など分かるはずもないし、僕はただ、風変わりな世界観に引き込むようなピアノのイントロや、案外優しく語りかけるように聴こえてしまうサビ部分、美しいコーラスなどに純粋に感動していたのである。結局のところ、名曲としかいいようがない。

9.”Hey Bulldog" (1968) - Lennon

『イエロー・サブマリン』(Yellow Submarine)収録。

曲全体を支えるピアノの力強さがキーボーディストにはたまらない魅力。イントロから持って行かれてしまう。しかしこのピアノ、ジョンなのかあ。知らなかった。

この曲にもジョン特有の皮肉や何かを揶揄する気持ちが込められているのかもしれないが、ご本人には申し訳ないが僕にはどうでもいいことだ。

ポールのやたらと動き回る生き生きとしたベースといい、ジョージのシャープなギターといい、ただひたすらカッコよい印象的な曲だ。僕の大切な曲リストからは絶対に外せないロックナンバー。

10.”Here Comes The Sun" (1969) - Harrison

『アビイ・ロード』(Abbey Road)収録。

この曲こそが「栄光の陰に隠れがちな」という冒頭のタイトルに最も反するかもしれない。

マニアの人から叱られるかもしれない。それほどファンからも専門家からも評価の高い著名な曲だ。

僕としては、どうしてもジョージ・ハリスンの曲をここに持ってきたかったのと、もう一方の超絶大名曲「Something」と比較すれば、あくまで「どちらかというと」こっちのほうが認知度は落ちるだろうという理由だけで選んでいる。

何しろアコースティック・ギターが美しい。歌も美しければ歌以外の部分もうっとりするほど美しい。

ある音と全音の関係にある音(「ド」なら「レ」、「レ」なら「ミ」の位置関係にある音)を効果的に使うやり方をしているリフがあって(And I say it's all right. という歌詞の後に何度か出てくる部分)、曲全体の、どこか神々しさを覚える印象を決定づけている。この種のリフはピアノなどの他の楽器でやるよりもアコギでやったほうが圧倒的に美しい。弦をはじいた残響が耳に残るからである。それが実に神々しい。

そして同じことを何度か繰り返す間奏部分(「Sun,Sun,Sun〜」というコーラスの入る部分」)も圧倒的だ。転調につぐ転調なのに違和感が全くなく納得性のある展開で、一気に心を奪われてしまう。

ジョージの歌い方はいつだって優しく控えめに聴こえてしまうけれど、とんでもないこの名曲を作った彼もまた、偉大な人だ(などと僕なんかが言うまでもなく、ファンの誰もがそう言うだろう)。

番外編:

 以下の4曲も本来ならこの「隠れた〜」シリーズに入れたかったが、この4曲はもはや完全な個人作品であり、バンド・サウンドとは言えないので含めなかった。

2と3はアコースティック・ギターを弾くビートルズ好きなら必ずコピーしただろう。

美しいだけでなく、すごく高度なことをしている。どういう頭の中してるんだろうポールって。

頭の中がもっと分かんないのはジョンだ。

4なんて多くの人が(いい意味で)首を傾げる不思議なコード進行が登場するが、これまた不思議と印象に残る偉大な名曲だ。

1. "Martha My Dear" (1968) - McCartney

2. "Blackbird" (1968) - McCartney

3. "Mother Nature's Son" (1968) - McCartney

4. "Julia" (1968) - Lennon


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