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フランスでフランス人をガイドする

コロナ禍で変わったこと。

数えるときりがないくらいたくさんあるのですが、仕事面でいうと、フランス人観光客をガイドする機会が大幅に増えたことでしょうか。

コロナ以前は日本人観光客が中心だったので、全く別の仕事をしているような感覚すら覚えます。とはいえ、インバウンド観光が厳しい状況の中、こういう機会が頂けていることはありがたいことだなと思います。

国ごとに違うガイドツアーのアプローチ

フランス人を案内するにあたって、日本語ではなくフランス語を話す以外は基本的にすることは同じなのですが、ツアーの準備の仕方は結構変わります。

原則的に本や資料は全てフランス語なのですが、日本人のお客様をご案内する場合は準備段階でどういうふうに内容を分かりやすく説明するかなどを考えたりします。特に大変なのは、文化や歴史の違いを考慮した上で、どう噛み砕いて各事象を説明していくかでしょうか。

これは、日本で通訳案内士をしていた頃にフランス人を案内していた時と同じアプローチでもあります。日本の場合は日本語からフランス語、フランスの場合はフランス語から日本語といった具合に、参考にした文献の内容を話す場合、必然的に翻訳の必要が出てきます。

その点では、フランスでフランス人相手をガイドする場合はかなり楽です。というのは、原則的にインプットとアウトプットの言語が同じで、言葉を翻訳する必要はないからです。

一方で、ツアーの内容が地方色の強いものだったり、歴史や美術の少し専門的な内容に踏み込むことも多いので、基礎知識のない人から造詣の深い人までに満足してもらえるように工夫が必要です。あと、専門的な用語になると、参加者が知らないということもあるので、その辺の配慮も必要です。

そんな感じで、色々と大変な点が多くありますが、実はそれが楽しい部分だったりします。うまく行った時の快感こそがこの仕事の醍醐味の一つかもしれません。

外国人がフランスでフランス人をガイドする

フランス語でツアーをするようになって、よく思い出すのがリヨンで観光案内所のフランス語のツアーに参加した時のこと。その時のガイドさんがドイツ語訛りのフランス語を話すオーストリア人の女性でした。

フランス革命の際にギロチンで処刑されたルイ16世の妃であるマリー・アントワネット(オーストリア生まれ)を引き合いに、ツアー冒頭で「処刑しないでね(笑)」とジョークで場を和ませていたのが印象に残っています。同じ外国人のガイドとして、なんだかたくましいなあと。

私が日本で外国人をガイドをしていたときは、日本で生まれ育ったことや日本語が分かるということは大きな武器でした。

そんな後ろ盾がなくなり、外国人としてフランスでフランス人をガイドする今。

最初は「自分でいいのかな?」という感じでしたが、徐々にそんな気持ちも薄れている気がします。

レンヌでの生活も長くなり、街の歴史や建物まで知識を深めていく中で、自分の中で街への愛着が強まっているのも感じます。レンヌの住民として、自分の第二の故郷を案内しているような、そんな気持ちが芽生え始めているからかもしれません。

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