西洋美術史はなぜ絵画中心なのか?
以前からずっと思っていたことなのですが、西洋美術史の本って建築や彫刻より絵画の占める割合が高い気がしませんか?
例えば、歴史的に有名なヨーロッパの画家を挙げるのは簡単でも、建築家となるとグッとハードルが上がってしまうのではないでしょうか。
昨年日本に一時帰国した時に、西洋建築の本を大きな書店で色々探してみたのですが、思った以上に選択肢が少ないことに驚きました。
絵画の本となるとかなり敷居が低く、大衆向けに書かれた本から専門書まで多々あります。一方で建築となると、かなり数が限られます。
フランスやイタリア、スペインなどに多くの日本人の観光客が訪れるのに、一冊くらい専門用語の使われていない西洋建築の本があってもいいと思うのですが・・・。
実は、個人的に絵画よりも建築のガイドをする機会が圧倒的に多いというのもあります。パリだったらルーヴルとかオルセー美術館をガイドする機会が多いのでしょうが、フランスの地方都市だと街や建築物が中心になるという事情もあります。
そういう理由もあり、ガイド準備のため建築の本を読む機会が多くなります。ただ、例えばフランス建築史にスポットを充てた本となると、フランス語でもこれが意外にあまりなかったりします。
なぜ絵画の方が本が充実しているのか?
最近買ったフランス建築史の本のまえがきに、絵画の本が多い理由の一つが暗示されていました。
それによると、絵画は持ち運びができ、展覧会などで実物を見ることも比較的容易なので研究が進め易い。
一方で、建築物は動かせないため、その都度現地に赴かないといけないので物理的にも金銭的に負担が大きいと。
たしかに、建築は空間を占めるものなので、実物を見ないと分かりづらい部分は多いのは事実です。結果的に絵画の方が裾野が広がるということでしょうか。
西洋建築史は門外漢にはかなり敷居が高いんだろうなというのが個人的な印象です。日本で買った西洋建築史の本も専門用語のオンパレードだったので。
私はガイドなので、お客様にいかに興味を持ってもらうか、専門用語をいかに使わずに説明するかというのを常に考えています。アカデミックに話しても、伝わらなければ意味がないので。
そんな思うところもあり、「おうちで西洋美術」というインスタグラムのアカウントを始めました。
これだけ建築が少ないと力説しておいて、最初の投稿は絵画なんですが(笑)
今日7/14はフランスはパリ祭なので、タイムリーなものをご紹介したいと思いまして・・・。
今後はもちろん建築もたくさん紹介していきます。よかったら、下記のリンクから覗いて見てください。フォローもどうぞよろしくお願いします。
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