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子供のいないご夫婦の遺言書作成相談

先日相談に来られた方は、子供のいないご方で、遺言書を作った方がいいか悩んでいるとのことでした。

今回は、『子供のいないご夫婦にとって遺言書は必要か』というテーマについてお話ししたいと思います。


ご主人、田中さん(仮名)は、先祖代々の土地持ちで、山林や畑などが多いのですが、これらは田中家で守っていく必要があるとのことでした。

田中さんは4人兄弟の長男で、下に2人の妹と1人の弟がいます。田中さんが亡くなった場合に、法定相続人は奥さんと3人の弟妹になります。


このケースでは、遺言がないと2つの問題が発生することが予想されます。

①配偶者と兄弟姉妹の財産分けはまとまりにくい

②先祖代々の土地がある人は、自家の土地を守れない場合がある

①と②について解説しましょう。

①配偶者と兄弟姉妹の財産分けはまとまりにくい


田中さんの財産分けに関して、遺産分割協議をするわけですが、自分の兄弟姉妹ならまだいいのですが、配偶者の兄弟姉妹となるとそもそも他人ですから、感情論にもなりかねません。

さらに、相続発生時にこの兄弟姉妹のどなたかが亡くなられていた場合には、その方の子供たち、すなわち甥姪が法定相続人になるわけです。

甥姪にとっては、降ってわいた話になるわけですから、もらえるものはもらいたいという欲が出ますので、さらに話はややこしくなります。

このような状況になるのは、奥さんのためにも是非とも避けたいところです。


②先祖代々の土地がある人は、自家の土地を守れない場合がある


田中さんの希望として、土地はすべて田中家で相続したいとのことでした。

しかし、奥さんが自宅の土地を相続した場合には、奥さんが亡くなった時にこの土地は奥さんの兄弟姉妹に相続されることになり、田中家には戻ってこないわけです。

先祖代々の土地を守っていきたいという田中さんの想いが、実現できない結果となってしまうのです。

田中さんの相談に対して、下記のようなアドバイスをさせていただきました。


ニコニコ 田中さんの弟には、すべての土地及び建物と相続税相当分の現金を相続させる。

照れ 奥さんには、上記①以外のすべての財産と自宅の居住権を相続させる。

爆  笑 公正証書遺言の形式で遺言書を作成する。

また、2人の妹には何も相続させないが、それで納得してもらえるはずであるし、兄弟姉妹には遺留分請求権がないので、不安はないとのことでした。


その他にも留意点はあります。

仮に弟が田中さんより先に亡くなった場合で、その時点で田中さんが認知症になっている場合です。

再度遺言書を作ることはできないし、最初の遺言書は無効になってしまうことから、結果的に遺産分割協議になってしまっては意味がありません。

このような場合に備えて、弟が亡くなっている場合にはその長男に相続させる旨の記載が必要となります。

田中さんと同じような悩みを抱えている方は、一度身近な税理士にご相談ください。

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