見出し画像

身寄りがいない、おひとり様相続の課題とは?


最近増えている「おひとり様相続」!皆さんの身近におられませんか?いろいろな課題を抱えられています。

例えば、こんな方です。

・一人暮らしているAさん 85歳

・配偶者は既に他界しており、子供はいない(いわゆる「おひとり様相続」である)

・軽度の認知症を発症している

・遺言書の作成をしていない

・自宅は持ち家である 

このようなAさんは、自宅を含めた財産の管理や相続、遺言などについて、どのような課題が潜んでいるのでしょうか?



😢「おひとり様相続」、とは何が課題になりますか。


次のような課題が挙げられます。


課題① 相続人が大所帯になる。

子供がいないAさんは、相続人は兄弟姉妹になるため、相続人が大所帯になることが多いといえます。

兄弟姉妹がすでに亡くなっていることも多く、その場合はその子供たち、Aさんからすれば甥姪が相続人になってきます。

このようなケースでは、故人や親族とあまり関わり合いたくないが、財産はもらいたいと考える人もおり、遺産分割協議がまとまらないことがあります。


課題② 相続人に連絡の取れない方がいる。

相続人が大所帯になると、その中には連絡の取れない方がいる場合もあります。

全ての相続人が集まらないと、遺産分割協議ができません。

このようなケースでは、家庭裁判所に不在者財産管理人選任申立をし、代理人を立てる必要があります。


課題③ 相続人に認知症の方がいる。

Aさんのように高齢になると、その相続人である兄弟姉妹の中には、認知症の方(意思能力がないと判断された方)がいることも少なくありません。

相続人の中に認知症の方がいると、遺産分割協議ができません。

この場合は、家庭裁判所に成年後見人選任申立をし、代理人を立てる必要がありますが、手続きが大変で、成年後見人への報酬も発生します。


課題④ 相続人が誰もいない。

配偶者、子、兄弟姉妹が一人もいない場合、相続人は誰もいないことになります。

財産の引き継ぎ先がいないため、利害関係人等が家庭裁判所に請求し、被相続人の財産を管理したり負債の清算を行う相続財産管理人を選任してもらう必要があります。

内縁の妻、療養看護をしてくれていた方などの特別縁故者と呼ばれる方もいない場合には、最終的にはAさんの財産は国庫に帰属することになります。


課題⑤ 自宅の管理者がいない。

空き家となっている自宅を管理する人がいないため、いわゆる空き家問題が発生することになります。


<空き家問題>

・住宅自体の価値が下がり、売却が難しくなる

・近隣住民とのトラブルにつながる

・不法侵入やゴミの不法投棄により、犯罪の温床となる可能性がある

・倒壊、火災、落雪などにより、ケガをする可能性がある

・築年数が経っている、手入れの行き届いていない空き家によって景観が損なわれる


課題⑥ 遺体や遺骨の引き取り手がいない。

亡くなった方に身寄りがなく、遺体の埋葬または火葬を行う者がいない場合、死亡地の市区町村長が行わなければならないとされていますので、市区町村への連絡が必要です。

亡くなった方が、老人福祉法11条の措置によって、老人ホームに入居していた場合は、市区町村は施設に葬祭を行わせる措置を取ることができることになっています。

葬祭の費用は、亡くなった方の現金等が充てられ、足りない場合は市区町村が立替えます。

遺留品を売却してもなお費用が足りない場合には、最終的には都道府県が費用を負担します。

この様な事態に備えて、死後事務委任契約を締結することを検討する必要があります。

認知症を発症している方は、様々な法律行為を行うことができないため、いくつかの課題を抱えています。


🤣認知症のため法律行為が行えない、とは何が課題になりますか。

次のような課題が挙げられます。


課題① 財産の売却等の処分を行うことができない。

介護施設への入居資金として自宅を売却して準備するとともに、その後の生活費に充てることが考えられますが、売却という法律行為を行うことができません。

成年後見人の選任をした場合には、法律行為の代行はできますが、本人の財産の売却はできないケースがあります。


課題② 遺言書の作成ができない。

遺言書で生前お世話になった法定相続人以外の人に対する遺贈や社会貢献としての学校や福祉団体等への寄付などができません。

国庫への帰属という、亡くなられた方本人のご希望とは違った形の財産の承継となってしまいます。

身近にこんな方がいらっしゃれば、ぜひお手伝いをしてあげてください。

相続のことを考える機会を作りましょう。


👍エンディングノートを書くことをお勧めします。

エンディングノートに書き留める内容は、財産や葬儀に関することなど、ご自身のことや希望が主な内容です。

ただし、遺言書のように法的効力はありません。

👍公正証書遺言書を作成しましょう。

おひとり様相続の場合や認知症の心配がある方は、元気なうちに作っておきましょう。 

👍自宅を処分しましょう。

介護施設に入している方で、自宅が空き家になっている方は、元気なうちに自宅を処分して生活費に充てましょう。

👍成年後見人の選任の申し立てをしておきましょう。

認知症の方で親族がいないは成年後見人の選任が必要です。

👍気軽に専門家に相談しましょう。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?