なぜ吉村知事は専門家会議を活用できるか
コロナ禍で混乱する地方行政において、卓越したリーダーシップで次々と画期的な対策・方針を打ちだす吉村洋文大阪府知事。
そのポイントの一つが専門家会議を現実的に機能させた舵取りにあると論評するのが元府知事の橋本徹氏。
プレジデントオンラインの最新記事です。
政府であれ、地方自治体であれ、今回の一連の舵取りで最も難しいのは“経済“と”安全(=人命)“の優先順位とバランス感覚です。
そして言うまでもなく、”経済“と”医療・疫学“は全くかけ離れた専門分野であるということです。
すなわち、経済の専門家は、これ以上外出自粛を続けると経済が大きな痛手を被る、と主張し、医療の専門家は「感染者ゼロ・志望者ゼロ」を前提・理想とした議論を行ないます。
どちらの話も重要な事実であることに変わりはありませんが、どちらかを立てればどちらかが立たず、なかなか両方の主張をともに満たすような対策・対応を講じることは困難です。そして、外部者から見ると、その狭間で苦悶するリーダーの対応は一貫しません。
しかしあくまで専門家会議は諮問機関なのであり、方向性を決めるのはリーダーです。
では、リーダーが方向性を決めるとは具体的に何をすることなのか、というのが橋下氏の論説です。
この場合、吉村知事が行なったのは「医療崩壊を阻止する」ことをただ一つの獲得目標にしたことだと橋下氏は述べています。
すなわち、医療崩壊が生じない範囲で感染者(場合によっては死者)が一定量発生することを容認した上である程度の社会経済活動を復旧させようとしているのです。
“出口戦略”という用語の使い方が適切かどうかはさておき、「リーダーが行なうべき最も重要な決断」を行なったことが吉村知事の最も評価されるべき点だと言えます。
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