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「日本企業復活の戦略」

ベイン・アンド・カンパニー著『日本企業復活の戦略』(日本経済新聞出版社)

  国際市場での存在感を失った日本企業が先が見え難い時代にいかに立ち向かうかについて、独自の調査結果とナレッジから強烈な示唆を行なう新著。(2月19日発売)

  第3章1節「“不況こそ好機”とする勝者の戦い」では、グローバル企業3,500社に対する調査の結果から、リーマンショック前後で成長を続けられた企業と停滞した企業があり、その差は拡がり続けているという事実を示した上で、「景気後退は優勝劣敗を際立たせる」としています。

  勝者となった企業として日立製作所、サイバーエージェント、米コストコの例を挙げ、好景気のうちに自社のコアとなる強みを定義し、戦略的に重要な施策を絞り込んで実施していたこと、その後景気後退が近付くと景気シナリオ(影響評価)と危機管理プランを策定し、コアとなる強みにさらに磨きをかけたことを勝因としています。(M&Aや優秀人材の採用、事業の合理化とノンコア活動の分離・売却)

  一方敗者は景気後退局面が訪れて初めて「サバイバル・モード」に切り替えて経費削減を実施して受け身の対応を行なった結果、勢いを失ってしまい景気回復局面で立ち直るのにも苦労することになったとしています。

  また勝者にあっても、日本企業は外資系企業に比べて“勝ちきれていない”という事実を挙げ、その原因を、i)コアとなる強みの曖昧さ 、ii)リソース、ケイパビリティの低い活用効率、 iii)緊急対策が極端な”守り”という慢性的な課題とした上で、以下の解決策(処方箋)を示しています。
1)トップダウンの“断捨離”=「何をやらないか(何を捨てるか)」をトップ自らが決断する
2)エース人材に加え、外部人材やパートナーを活用した事業再編
3)投資対象のゼロベースの見直し(攻めと守り)

  また、第5章「顧客体験を軸にコモディティを脱して攻めに転ずる」では、収益性と持続性を伴った質の高い売上を積み上げるためには、従来の延長線上で製品やサービスに機能を足し算するだけでなく、自社が最も大切にしたい顧客との重要な接点における提供価値は何かを見定め、オペレーションを大幅に見直すことの必要性を説いています。

  米中貿易戦争を端緒とする市場の落ち込みから、さらに新型コロナ・ウイルスの 世界的流行が内外経済に及ぼす影響はさらに大きなものになりそうです。
 

  一般的に景気に強く連動する人材紹介ビジネスの事業環境も大変厳しいものとなるでしょう。そしてもう一つ忘れてはならないことは、過去不況期を脱するたびに新たな代替品が現れ、市場の脅威となっているということです。

  どんな“体験”になら、決定年収の35%もの手数料が許容されるのか。

  自社の強みの再定義とそれを最適に提供するオペレーションを基に、顧客体験の再定義を行なう必要があります。

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