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”35%”はいつまで続くのか /第2回

  前回、わが国における人材紹介手数料(率)が他国に比べて高いということを、労働市場の流動性を背景に述べました。

  ではそれ以外で、人材ビジネスを取り巻く環境は今後どのように変わるのでしょうか。

▼変化-1)年功型賃金カーブは変形し、年齢と収入との相関関係は弱まる
  今予測されている通り、各社の人事制度が職務型(ジョブ型)ポリシーへと移行するならば、そのマッチングを行なう人材紹介コンサルタントにもジョブ・ベースで適切なマッチングを行なうことが求められます。
  年齢や年収、見た目上の役職ではなく、その人の真の能力を見極めてマッチングを行なう必要があるということであり、かつ、ミッションやビジネス、マネジメントのスケールから、そのジョブに対する適正な収入を見極めることも必要になります。
  年齢や経験年数などで機械的なマッチングを行なうことしかできないコンサルタントは早晩市場から退場せざるをえなくなります。

▼変化-2)企業の人材獲得において外部労働市場への依存度が増す
  中長期の経営計画をもとに、将来必要となるのはどのような人材かを定めてトレーニングやローテーションを行なうことは、事業環境の変化が速く、不確実性の高い環境下では難しくなります。(「計画的な人材育成」が困難となる)
  一般的に「人材戦略はMake or Buy」と言われ、育成と採用を都度最適で選択するのがセオリーですが、変化や機会に機動的に対応するためには「Make and Buy」で並行して進めることで不確実性に備えなければなりません。
  すなわち、実際に募集するかどうかは別にして、常に内外の労働市場にどのような人材がいるのかを知っておく必要があるということです。

変化-3)優秀人材獲得の競争は特定領域の給与水準を高騰させる
  既に一部の企業では、デジタル分野の経験者や高度なIT分野を修めた新卒新入社員に対して旧来の給与テーブルの枠を超える高給で処遇することが行われていますが、この動きはさらに進み、いよいよ年齢との相関性は薄れていき、需給バランスによって領域ごとに細かく相場が形成されます。

  これ以外にも、 HRテックの流れによって企業が人材採用を行なう手段が多様化する(他業界からの人材紹介ビジネスへの参入が進む)ことは明らかで、それは即ちサービスに対する価値観(顧客体験)や価格体系が劇的に変わることは間違いありません。

  それでは、人材紹介会社やコンサルタントがどのように変化しなければならないのでしょうか。

  次回はそれを考えてみます。

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