かのこ動物日誌 スズメ
まよわず移住
三浦半島の古くて新しい住処
なだらかな丘と谷戸の大地に常緑広葉樹林のオアシスが点在する三浦半島は海と森に守られた豊かな大地でが広がる。金田の谷戸は昭和初期の景観が今も残っている数少ない場所。かのこ環境大学の建物は昭和25年ごろに建築された民家。20年以上空き家状態だった。部屋に入ったら真っ黒クロスケ?(アシダカグモ)が逃げ惑った。油断すると床を踏み抜いてしまいそうだ。案内してくれた不動産屋さんも売主様も「本当にこの物件で良いの?」何度も念を押された。迷いはなかった。泥壁も健在。当時のままだ。隙間だらけの軒下はコウモリ達の専用個室。
リホームした寝室と馬小屋は一つ屋根の下。馬の寝返りでこちらの寝床が揺れるのが楽しい。住み始めるとスズメ達が次から次へとやってきた。
共に暮らす
移住当初はさほど見かけなかったスズメたちだったが、次第に群れが大きくなってくるとチョウゲンボウがやってきてスズメ達を追い回し始めた。追われた「スズメは「ブワ〜」と空気を揺らす羽音を立てて一斉に植え込みの中に逃げ込む。私がいてもお構いなし。肌で感じる里の生き物達の1シーンだ。人と共に暮らしてきた代表のような野鳥、スズメ。山を開き、人の暮らしが始まるとスズメもやってくる(スズメだけじゃないけど)。人が去り村や街のあかりが消えるとスズメも去る。いつまでもスズメ達の歓声が聞こえる三浦の谷戸に暮らしていたいとつくづく思う。
鶏もビックリ
それなり土木からきちんと作った力作の鶏舎だがスズメが。
ドアを開けるとパニック状態で飛び去って行く。翌日もこりずに。「どこから入ったんだ」もちろん無言でパニック。土台付近に穴。まさかスズメ?隠れて様子を見てビックリ。嘴と足を器用に使ってトンネル掘りに夢中なスズメ。「こうすればこうなる」もしかしたらスズメってカラス並みの知能の持ち主かも。
知恵比べ
山田の中の案山子。効果は別として農家さんは真剣だ。丹精込めて育て上げた水田の米がスズメ達がよってたかって食べてしまう。防鳥網などがなかった時代は辛かった。自分の親もスズメ達に振り回されていたのを覚えている。
山間の田んぼは両側が雑木林の場所が多い。これがスズメ達の思う壺となる。林に隠れていたスズメが一斉に稲田に降りてくる。追い払うと再び林に逃げ込む。田んぼの周りに木があるとスズメの被害が多くなってしまうので水田近くには植栽は禁物。定期的に爆音を発するカーバイトがかつてはスズメよけに使用されていた。防鳥網も張り方が甘いと最近のスズメ達には役に立たない。体重20グラムと軽いスズメでも50〜60羽一斉にネットに乗れば簡単にたるんでしまう。最近はこの技がスズメ達の中で流行っているから困ったものだ。
絵 じんぼかおり
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