帰属意識とワーク・エンゲージメント

はじめに

どのような企業にとっても、離職率は頭の痛い問題です。離職した分採用を強化したとしても、新たに参画する社員向けの引き継ぎや教育にコストがかかる限り、離職率の低下に十分なコストをかけることは合理的であると言えます。この問題に対する効果的なアプローチとして、帰属意識とワーク・エンゲージメントの相互関係に焦点を当てて見ましょう。


帰属意識とワーク・エンゲージメントの相互関係

帰属意識とは、会社や組織のメンバーが「自分は組織に所属している」「組織のメンバーは仲間である」という意識のことで、これが高いと従業員は会社に対してより強いコミットメントを持ち、愛着心やモチベーションにつながり、離職率や生産性にも影響します。

一方、ワーク・エンゲージメントとは、仕事に対してのポジティブで充実した心理状態のことです。オランダ・ユトレヒト大学のSchaufeli 教授らが提唱した概念 であり、

  • 「仕事から活力を得ていきいきとしている」(活力)

  • 「仕事に誇りとやりがいを感じている」 (熱意)

  • 「仕事に熱心に取り組んでいる」(没頭)

の3つが満たされている心理状態をいいます。

これら二つの要素は互いに強く関連しています。帰属意識が高まることで、従業員は組織に対してより一体感を持ち、結果として仕事に対する熱意や没入度が増します。逆に、ワーク・エンゲージメントが高い状態は、従業員が組織に対してポジティブな感情を持ち、帰属意識を強化する原動力となります。

ワークエンゲージメントを上げる

研究により、ワーク・エンゲージメントを上げるには、2つの重要な変数があると言われています。

業務支援

同僚からのソーシャルサポートや、上司の業績フィードバック、コーチングなど、業務を円滑に進めるための支援を充実させることがワーク・エンゲージメントを高める要素となります。
また、ジョブコントロールやタスクの多様性、学習・向上の機会など、従業員の主体性を高めるための支援も重要です。

個人的資源

楽観主義や自己効力感、レジリエンス(困難をしなやかに乗り越え回復する力)などの個人的資源を強化するための研修やトレーニングを実施します。
また、外向性や良心性、感情的安定性などの個人的な特徴を活かせる環境づくりもワーク・エンゲージメントに寄与します。

まとめ

帰属意識とワーク・エンゲージメントは、相互に影響し合いながら、組織の生産性と従業員の満足度を向上させる重要な要素です。これらを効果的に高めることで、組織は離職率を低下させ、より健全で生産的な職場環境を創り出すことができるでしょう。

そのためには、業務支援の充実、個人的資源の強化など、さまざまな施策を実施することが重要です。

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