見出し画像

テニス選手が日本(アジア)を拠点にしない理由とは

塚田健一郎ともうします。
妻と3人の子供達とタイバンコクで暮らしています。
世界のテニスツアーもコロナの影響を受けながら、2021年全豪オープンを筆頭に世界各地でツアーが再開されているようです。世界を転戦するテニス選手とその関係者のご苦労を察するのは難しくはありません。渡航前のPCR、現地でのルール、そして再検査など。多大な苦労があると思います。

今日は世界のトップ選手がなぜ日本を拠点にしないのか?の理由を書きたいと思います。

日本では、特殊なコート。オムニコート(砂入り人工芝)が主流になり、世界基準のハードコートを作って強化するとか、優秀なコーチを育成して強化する試みがあると聞きます。もちろん理想はそうであるべきです。しかし本当にそうなのでしょうか?

これは私個人的な意見なのですが、それだけ変えても選手は強くなりませんし、トップ選手は日本を拠点
にしようとは考えないでしょう。
錦織選手や大坂選手は日本の国籍を持っているのだから、日本を拠点にしてもいいはずです。でもしない。。。するはずがない。。いくらいい施設を作っても、いい指導者がいてもかなわないことがあります。

上位大会への距離です。

世界の大会はヨーロッパとアメリカ東海岸を中心にツアーが組まれています。テニスは年間30週間以上、本拠地を離れて転戦をしていきます。日本からですとヨーロッパ、アメリカに1回のフライトで12時間のフライトをしなくてはなりません。そしてもっと厄介なのは時差です。年間数回の時差であれば我慢できるのですが、移動が多いツアーではヨーロッパ、アメリカと、何回も移動が入ってきます。移動時間と時差の影響を受けると、練習やトレーニング、リカバーの時間もロスがでます。これも年数回であればいいのですが、そういう訳にもいきません。これが何年も継続したらものすごい大きな差となってくるのです。

この記事を書こうと思ったのも、
数週間前にモンテカルロオープンのドローを見た時のことです。64名ドローのうち10人余りの選手がモナコのレジデンスを持っています。
高額収入で税金の対策だけでなく、移動距離そして比較的温暖な気候。そして、必然に集合するトップアスリートが、オフシーズンにトレーニングを積み重ねることも可能になります。

何よりEUどこに飛んでも3時間以内で行ける立地の理由が大きいと考えています。そしてアメリカ東海岸であれば6時間ほで到着します。
更に言うと、日本が税金の優遇、テニスコート施設を完璧に備える、優秀な指導者を加える。などの対策をしてもトッププロは集まりません。
日本では多国籍、そして異なった文化、教育、価値観を持った選手と触れ合う機会が極めて少ないのです。

私はジュニア育成に関しては、同じような人種、思考、価値観を持った選手同士の競い合いは、効果がないとは言いませんが少ないと思います。欧米では国内でも十分、多民族での競争ができる環境です。移民を受け入れたりしていてとにかく多国籍です。日本の学校では、白人がいたり黒人がいたり、アラブ系がいたりインド系がいたりなどする学校は滅多にないでしょう。我が家の子供達が日本に一時帰国して日本の学校に一時入学した時でも、日本人の顔してるのに日本語話せないだけで珍しいと言われるぐらいです。
日本国内では、イスラムのお祈りをする部屋を提供する施設は滅多にありません。私の住んでいるタイは、お祈り用のプレイルームが設置されています。タイも周辺諸国はカンボジア、ラオス、ベトナム、ミャンマー、マレーシアなどに囲まれており、文化や宗教は似ていますが多国籍の集合体です。特にタイの南部はマレーシアとの国境近くはイスラムの文化が強いです。

はたしてツアーの世界はどうでしょうか?

初戦から全く異なった価値観、個性を持った選手を受け入れて対戦していくことが求められます。そして同じ日本人で対戦するのは、年に数回あるかどうかです。低年齢から違った文化を受け入れるトレーニングをされていな選手がいくらいいテニスをしたって簡単には勝てません。

では日本で強くなっていくにはどうしたらいいのか?

低年齢から世界は広いことを認識して取り組むことです。具体的にはできるだけ低年齢で世界のテニスに触れること。テニスだけではない。文化や歴史、宗教など。そして経験と実績を積んでいくしかありません。

実力がついたらチャンスは来るだろうしまた自ら拠点を移すものいい行動だと思います。
誤解のないように書きますが、日本だから強くなれない、オムニだから強くなれない、なんて決まりはありません。あと勉強が忙しいからテニスが強くなれませんという理由も聞きますが、、、ではいつ勉強が忙しくないか教えていただきたい。現実テニスは欧米中心にまわっているので世界のテニス中心から見れば、日本はとっても遠い国なのです。

日本のテニス人口は350万人ほどと言われていて、この8年で約40万人ほど減っているというデータがあります。これからも減少していく傾向にあるでしょう。世界のテニス人口は1億1千万人と言われていますから、日本のテニス人口は350万人ですので、世界中の3%弱になります。日本でプレーしている3%の人々がハードでやってようが、クレーでやってようが、オムニでやってようが、路上でやってようが関係ないのです。世界的にみたら面白いテニスコートでやっている国もあっていいのではないか?一回プレーしてみたいね。ぐらいにしか思っていません。野球だってメジャーは天然芝、屋外ですが、日本では、ドーム、人工芝で開催していてもメジャーは何とも思っていません。
ですのでトップ選手が、日本(アジア)に選手が集まらない理由は、施設、コーチ、環境、も含めて距離です。これを解決するには、欧米まで3時間で行ける飛行機が開発されるか、もしくはテニスの大会中心をアジアに移動させる方法しかありません。

中国に数大会はできる可能性はあるかもしれませんがまず無理でしょう。長くなりましたが、テニスを見るときに、世界的に見たらどうなんだろうね?というポイントを押さえて考える必要がありそうです。

私がもし日本に住んでいて強化をしたいと思う場所は、
コートがあり、豊かな自然環境があることです。
この自然環境って選手育成で相当重要なファクターなのではないかと思います。自然を感じながら練習するってすごい大事だと思うのです。試合中、時間が経つにつれて環境は変わりますよね。暑くなってきたり、風が強くなってきたり、太陽に位置が変わったり。自然を封鎖するインドアで長期に練習したら、
しかも冷暖房なんか入っていて、自然を感じない環境をを整えてしまったら。。。どうなるか。。。

答えは分かりますね。

みなさんも安全にテニスを楽しんでくださいね!





この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?