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事業会社で働くデザイナーの視野

今回は、事業会社で働くデザイナーの視野についてです。制作会社で働く場合との差分はどこにあるのか、をポイントにしながら書いていきたいと思います。




1. 事業会社と制作会社の違い

私は制作会社数社で働いたのち事業会社に転職しました。現在は事業会社で働いていますが、デザイナーのキャリアという視点では、どちらもメリット・デメリットは存在するので、どちらが良いという提案の話ではなく、自身に適した会社で働くことをお勧めするのは大前提です。

面接の際にも、どちらで働くことを希望されているのかという点と、その理由を質問させていただくことがあります。改めてメリットとデメリットをまとめてみました。

事業会社:長期的にPJやデザインに携わり自身の手で組織の成長に貢献できるが、デザイン表現の幅は広がりにくい。

制作会社:多数のクライアントワークにてデザイン表現の幅は広がるが、単発かつ短期的に関わるので前後や背景を深く知る機会が少ない。

これは私の経験から感じたことであるため、一つの参考として捉えていただきたいのですが、面接を受けてくださる候補者の方々からも大枠上記と似たような考えを聞くことが多いです。


2. 内側から、外側から

「事業会社で働くデザイナー」と「制作会社で働くデザイナー」の立ち位置を図解してみました。

事業会社の場合
制作会社の場合

事業会社:会社の内側から「自社をより良くするために」課題を発見し解決する。他部署と協働しクライアントの課題を解決する。

制作会社:クライアントの外側から「クライアントの事業をより良くするために」課題をヒアリングしデザインで解決する。

事業会社の場合、会社の内側から様々な課題に向かい合うので、その際に協働するのは周りの仲間である「チームメンバー」や「他部署のメンバー」になります。彼らと同じ船に乗り、同じミッションを目指して走るので、周りの仲間と助け合うという場面が必然的に生まれてくることとなります。

この「周りの仲間のため」と「自社のため」という範囲まで考えを広げることが、事業会社で働くデザイナーに必要な視野なのではないかと考えています。

逆に制作会社で働くデザイナーで「周りの仲間のため」と「自社のため」という考えがある人はほぼ居ないのではないかと個人的には思います。制作会社は「強い個の集合体」というイメージです。勿論「自身のスキルアップのため」「クライアントのため」などの考えは、事業会社/制作会社どちらで働くデザイナーも共通して持っています。

これは私が担当するコミュニケーションデザイン(ブランドデザイン)の職種の特徴だと思います。我々は横断的に多くの他部署メンバーと業務で関わりますので、その際にこの視野が必要です。

事業会社は全社員でブランドをつくっています。とすると、周りの仲間と助け合うというその行為は、間接的にブランディングに繋がっていくのだと思います。

内部からデザインを実行し会社をより良くしていく事業会社のデザイナーには、この視野と考え方が必要です。デザイナーである以前に、会社の一員として、内部の仲間とOne teamになることが大切です。


3. 独自のスタイルを目指して

「会社をより良くするために」自分には何ができるのか、どのような立ち回りが必要なのか、という思考が私には根付いています。自分の所属する会社なので、今よりもっと良くしたいと思うのは当然のことですし重要なことだと思います。「自分ごと化」して考えるということです。

弊社のカルチャーとして全社的に共通しているのが「挑戦」です。ベストな成果を出したかどうかは勿論重要ですが、挑戦したかどうかも同様またはそれ以上に重要視される傾向にあります。

ではメンバーが「会社をより良くするために」「挑戦する」には、どのようなマネジメントスタイルが良いのか。そしてそれが楽しいという実感を得てもらうためには。

自分がつくっている、自分が会社をより良くしている、楽しい、と実感してもらうためにはやはり「自身で意思決定する」ことが重要だと思います。PJやタスクの大小関係なく自分が責任を持ちデザインに関しての意思決定をする。誰かに決定を委ねるのではなく、自身が思うベストを追求しリリースする。思考停止せずに考え続けて実行・挑戦すること。そして様々な気付きを得てほしいと強く思っています。そこで得られる課題以上に価値のあるものはないと思いますし、だからこそ成長に繋がるのだと信じています。そのような環境を徐々につくっていきたいです。


4. まとめ

事業会社と制作会社の比較から、両者の差分を見つけた話、そして事業会社で働くデザイナーの視野から、マネジメントスタイルの話…までを書いてみました。

これは私の経験から得た考えであるため、正しいかどうかは分かりません。スタイルの話についても、弊社の事業やカルチャーに適した独自のスタイルであり、一つの考えにすぎません。他社では当然異なってくるでしょう。

会社のために何が必要か、周りの仲間のために何ができるのか、それらを考えることは簡単ではないのかもしれませんが、視点が変わると一つひとつの業務が意味を帯び、ブレイクスルーのきっかけとなるかもしれません。


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