地元に連絡無しで、覆土無し食用作物栽培実証事業を環境省は開始

(※この記事の追記として書いていましたがわかりにくいので独立させました。)

地元に知らせることなく、したがって了解も得ることなく、除去土壌からえられた再生資材で、覆土無しの食用作物栽培実証事業を行っていたことがわかりました。

覆土無し食用作物栽培の実証事業について、地元の要望であるかのように環境省が説明しています。

しかし、地元の要望で覆土無し食用作物栽培を行ったことは、今のところ文書では確認できません。つまり証拠がありません。証拠がない以上、要望している人が仮にいたとしても、ごく少数だと思われます。

除去土壌の再生利用については(その意味については別記事参照)多くの反対があります。これはパブコメの結果でも明らかです。

多数の反対意見を採用せず、逆に、環境省の方針に合うごく少数の意見のみを採用しているのかもしれません。少数を採用するのも妥当性、正当性があればよいと思います。しかし少数を採用するなら、妥当性・正当性が必要でしょう。正当性は、公開の場で根拠が提示され、十分な議論をしたうえで確保されます。

今回は、そのようなことは一切行わず、それどころか、環境省は地元自治体にすら連絡していませんでした(※)。覆土無し栽培が明らかになった後の地元の菅野村長の話によれば、覆土無しでの除染土での食用作物栽培実証事業について知らなかったようです。

※開示資料(【開示資料10】)をよくみたところ、2020年3月27日付けの飯舘村向けの説明資料の4ページ目に「覆土無しで栽培する。」という吹き出しがついていました。どうやら食用キャベツのようです。しかし下のように菅野村長が認識していなかったのですから、しっかり説明してはいないようです。

飯舘村の菅野村長は、覆土無し食用作物栽培実証事業について、「私は初めて聞いてびっくりしています。今の段階では当然、覆土をするべきです。もし覆土しないでやるという話だったら、私はこの話は進めませんでした。」と述べています。(※)

※2020年8月9日の菅野村長の話として、「民の声新聞」に報じられています。

覆土無し食用作物栽培が明るみに出た直後の8月11日に、菅野復興副大臣が、突如飯舘村を訪問し、食用作物栽培を視察しています(『福島民報』2020年8月12日)。事情説明に赴いたのではないでしょうか。

飯舘村ホームページの記録を見る限り、復興副大臣が飯舘村を訪問するのは4年ぶりです。復興副大臣がこのタイミングで飯舘村を訪問しているので、環境省ではなく復興庁が主導しているのかもしれません。

明らかになったことをまとめます

1)非公開のまま、覆土無しでの食用作物栽培実証事業を環境省は進めてきました。これは開示文書から明らかです。

2)さらに、国・環境省は、関係者にも知らせず(少なくとも認識させることなく)、覆土無しでの食用食物栽培の実証事業を行っていました。

※とはいえ、あらかじめ飯舘村に知らせていればそれで良かったのか、というとそういうわけではありません。なぜなら、これは飯舘村のためだけにやっているのではなく、除去土壌の再生利用について国費を投じて行っている実証事業だからです。


飯舘村は、福島原発事故前、原発の交付金によらず、独自の村づくりをすすめていた素晴らしい地域です。

「除染土・再生土の利用」と「地域の再生」は意味が全く違います。

地域の人たちの願いは、地域の復興、農業の復活なのであって、除染土・再生土(=放射性物質で汚染されている土です)の上、ましてや除染土・再生土をそのまま使って農業することではないでしょう。除染土・再生土とセットにしなければ支援がなくなるのではないか、と思わせるようなやり方で強引にことを進めるようなやり方、全て非公開で物事を進めるやり方はいかがなものでしょうか。

国・環境省は全てのプロセスを透明にし、改めて公開の場で議論を尽くす必要があります。


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