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違和感から学ぶ

デジタルハリウッド大学大学院「先端科学原論」(藤井直敬教授)の講義にて「自由意志はあるのか?」「腸の状態によって性格が変わる」という話があった。

身近な事例を通じて、このテーマについて考えてみたい。

意志の境目

ある実験(※1)によると、人が決断したと認識する0.5秒前に脳から信号が出ているという。

私たちが自分の意志と思っているものは脳反応の結果に過ぎないかもしれないというわけだ。

この授業の日、僕の顔と手には引っ掻き傷ができていた。
授業の前日にソルちゃんの首元を撫でた際、珍しく引っ掻かれたからだ。

その時のソルちゃんの表情が忘れられない。
驚いた顔になり、その後、悲しい目を浮かべたのだ。

脳反応とソルちゃんの意志の境目だったのだろうか?

とっても温厚なソルちゃん(ノルウェージャンフォレストキャット♀)


腐る人、腐らない人

授業の中でもう一つ興味深い話があった。

「腸の状態によって性格が変わる」(※2)という点。
腸内細菌が性格や脳に与える影響が大きいらしい。

おもえば、同じ環境に置かれても腐る人と腐らない人がいる。


僕の父親は幼いときに両親を亡くし、食事もまともに取れない家庭環境の中で育った。学校では昼食もろくに食べれず、ひとり屋上で時間をつぶしていた。たまに食べるサツマイモが数少ない栄養源だったそうだ。

こんな環境では、ぐれてもおかしくないものの、当時から現在に至るまで、実子の僕からみても極めて真面目な人生を過ごしている。

授業の後、気になってサツマイモの効能を調べると腸内細菌を育てる理想的な食べ物だった。


義父も極貧の家庭だった。

6畳の部屋に子ども8人、大人2人。
義祖父は石鹸を作って販売する仕事をしていたが、ほとんど売れず、食べれない日も多かった。栄養源は子どもたちが海で調達する魚だったそうだ。

自宅では段ボールを机にし、本を読んだりそろばんをするくらいしかやることが無かった。子どもたちは学年上位の成績になり、高校は進学校に合格。そろばん大会でも上位だった。

高校を卒業すると、お金がなかったため、大学には行けず早々に就職。
その高校は大学進学が当たり前で、就職する学生は圧倒的に少なく、逆にそれが良かった。推薦で就職できる先が沢山あり、就職先を選べたのだ。また、当時はそろばんが得意だと銀行員になりやすかったそうで、結果として子どもたちの多くが銀行員になった。

気になって魚の効能を調べてみたところ、腸内細菌を活性化させる食べ物だった。


「環境が人を作る」とは良くいうけれど、同じような状況下でも「腐る人、腐らない人」が存在することに疑問があった。

もちろん「周りの支えがあった」「コミュニティに恵まれた」「それまでの教育が良かった」等、様々な要因もあるだろう。

ひとついえるのは、調査結果以外にも、身近な2つの事例では腸内細菌に関わる単語が確かに存在していたということだ。

「腸の状態によって性格が変わる」

この視点をもって、これからの世の中を見ていく価値は十分ありそうだ。


違和感と問い

これまでの経験から「違和感の中から問いが生まれ、問いがあらたな行動を生む」と考えている。

冒頭に書いたソルちゃんも、引っ搔いたあとに違和感をおぼえたのかもしれない。この原稿を書いているときのソルちゃんはコチラ。

ひざ元でスリスリしているソルちゃん

人は、一度、こうだと定めると思考停止になってしまい、それに従いつづけるところがあるように思う。

当たり前の存在と感じている人の意志でさえ、実は脳の信号が決めていて、人はそれに従っているだけだとすると、人に残された唯一の抵抗は「違和感をどう感じるか?」にあるのではないだろうか。

日常生活の中にあるさまざまな違和感。

違和感に気づき、ほんの少しでも良い方向に変えることに私たちが存在する意味があるように思う。

目の前の現実をそのまま受け入れるのではなく、違和感から学び、実験し、ほんの少しでも改善する。

そうした姿勢を大切に、一歩一歩進んでいきたい。


Photo by Stefano Pollio on Unsplash



※1: 「自由意志」は存在する(ただし、ほんの0.2秒間だけ)
※2: 性格は「腸内細菌」によって決まる


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