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ホスピタリティ業界に関わる身として、ある意味で感動的なイベントに参加。といってもこんな時節柄、Virtual Conferenceにて開催、要はオンラインセミナー。

「Hospitality Tomorrow」と銘打たれたこのイベントはまさしくコロナショックで大打撃を受けている「ホスピタリティ業界の明日=将来/行く末」をテーマにセッションが組まれてた。

Beach Events社が主催し、参加者は、ホテルのオペレーター、オーナー、アドバイザー(投資・仲介等)などほぼすべてのプレーヤーを受け入れ、自分が参加した時には約2,300名が視聴。あとに来たフォローアップメールでは、「128の国から累計5,343名が参加」とのこと(!)

しかもこれいろいろなカテゴリーがあるものの、基本的に無料で参加可能。もちろん企業のスポンサーシップなどや寄付などもあっての話だけれど、この規模で、且つこの困難なタイミングでこれを開催したこと、してくれたことは本当に素晴らしいことだと思う(次回以降はおそらく有料になっていくと思うけど、それでも「先義後利」の精神はほんとうに聴衆の胸に残るはず)。

肝心な内容は、下記2つのセッションを中心に。イベント自体は、トータル6時間超と、加えて時差もあり(-8時間)全部は聞けなかったけど、この2つはパネリストに見知った顔もあり、内容も面白かった。

13:15(BST: ロンドン時間)or 21:15 (JST: 日本時間) 

How bad is it and where are the green shoots?

・​Robin Rossmann Managing Director, STR

・Olivier Jager CEO & Co-Founder, ForwardKeys

・Followed by a discussion with Nick van Marken Managing Director, van Marken Limited

Green shootsは文字通り芽吹き、なのでこの場合は景気回復の「兆しがどこにあるのか?」。

特にSTRのRobinの話しは興味深かかった。このSTR、もともとはSmith and Travel Researchというデータ分析会社で、その頭文字をとって最近は会社名になっている。日本ではすこしマイナーだけれど、グローバルでは最大手のホスピタリティ特化のデータ分析会社。しかもここ数か月の混乱の中で、活発的に情報発信してくれている。これも無料。ほんと「先義後利」の人たちと「利」や「Take」が先に来ている人たちとの差は広がっていく気がする。

先行事例としての中国本土における状況(封鎖緩和→再封鎖にはなっているので余談は許さず、状況はかわっているけれど)、そしてベストプラクティス(もちろん反面教師としての経験値も)。

China recovery lessons                          Most closed hotels re-opened in 2 months – but some still closed            F&B played important role during the tough time by offering delivery       First phase demand drivers have been
    • domestic leisure
    • corporate business at high tech zone /industrial park area
    • quarantined guests stay at hotels close to airport                                       Lower scale hotels gained higher occupancy

日本でも緊急事態宣言が出た2020年4月7日前後より、ホテルや宿泊施設の休館が相次いだ。自分の周りだと、ひとまず4/1-4/14が多かったかな。中国でも同様だけど先行指標として、「休館から約2ヶ月で営業再開」というものがあるよう。もちろんまだ休館しているところもあるけれど、STRの別のWebinarでは「中国のホテルの約86%が運営中というレベルまで復活」というデータも出ていたので、ある程度の母集団があっての話だと思う。

あとはこれは日本のUber Eatやテイクアウトの普及からしてすんなりくるけれど「飲食店・料飲部門はフードデリバリーなどを通して難局に重要な役割を果たした」ということ。

そしてこれは自分もしっくりきたけれど、回復期に向けた最初のホテル需要として、「国内レジャー需要」・「IT・工業団地エリアの法人ビジネス需要」・「隔離が必要なゲスト需要(空港近くのホテル等)」が挙げられる。最後の需要に似ているけれど、たとえば武漢はいまホテルの客室稼働が平準化しているけれど、それは医療関係者の宿泊需要が高いから。

先行指標として最後に挙げられたのは「小規模施設の方がより高い稼働率を獲得した」ということ。

「復活するのはいつなのか?」

これもSTRの発表を時系列に追っていくと面白いのだけど、当初はSARSに似ているので、「SARSが発生してから、ホテル施設のパフォーマンスが例年並みまで回復するまでに経過した時間はどのくらいか?」というところを参考指標としていた。発生したのが2003年3月、回復したのが2003年9月、なので「発生から回復まで6カ月」、そして渡航制限が解かれたのが2003年6月なので「渡航制限の解除から回復まで3カ月」というのもあった。これを当初は「Most likely」としていたのだけど、今回では明確に「Unlikely=起こりにくい」というスタンスへ大転換。理由としてはSARSと比べ、特定の国のみの事象ではなく、渡航制限や出入国の厳しさが比でないこと、としていた。そりゃそうだな、という感じ。

そして次の比較対象としては2008年の金融危機(リーマンショック)。結論としてはこれと同じか、それ以上のインパクトがホテルマーケットにはあるのではとSTRは予測。そしてTourism Economics社のデータを参照し、RevPAR(販売可能客室1室あたり売上)の回復は2022年になるだろうとの見通しを紹介。これは欧州圏の話(Tourism Ecnomicsが、Oxford Economicsの子会社だから)だけれど、これをどうとるか?

World Trave & Tourism Council (WTTC)では、Epidemic(伝染病・疫病)の回復は、平均で19.4ヶ月というデータもあるので、2020年1月を起点にすると、この場合、2021年7-8月の回復となり、Tourism Ecnomicsよりはすこし早め。個人的にはオリンピックの延期(→2021年7月23日開幕)はこれに沿ったものだと思うけど、どうだろうか。

QAではSTRのRobinが話していた「今回はV字回復ではなく、W字回復」と話していたのが、このマーケットの先にある不確実性を物語ってるなぁ、と。いずれにしても仮説検証でしかないけれど、「アテ」があるのとないのでは大きいので、非常に示唆に富んだセッションとなった。

13:15(BST: ロンドン時間)or 21:15 (JST: 日本時間)

HAMA Global: Crisis asset management during COVID-19

Asset managers & executives from around the world,representing over 1+ Million hotel rooms, share their experiences on the current global crisis.

・René Beil President, HAMA MEA and Managing Director, Beaufort Global
In discussion with
・United States:Kim Gauthier President, HAMA USA and Senior Vice President, Hotelave
・Europe:Theodor Kubak Co-Founder and Member of the Supervisory Board, HAMA EU and Managing Partner, VOAH Value One Arbireo Hospitality
・Asia Pacific:Claas Elze President Emeritus, HAMA AP and Managing Director, Apara Hotel Advisors
・China:Tao Zhou President HAMA, CHINA and President, Huatian Hotel Group

Hospitality Asset Managers Association (HAMA)は今年で創設25年になる、ホテル投資・アセットマネジメントに従事するプレーヤーによって組織される業界団体。日本では前回の金融危機直後に創設、自分もそのプロセスに参加。当時はアメリカ以外に支部はなく、初の海外支部。

いまでは、APAC, China, Middle East, Europeにも支部があり、今回も急遽各国のプレジデントが招集された。ホテルのオーナー・投資家サイドと、運営・オペレーターサイドは時に利害対立するため、なかなかこういったイベントでも一堂に介することはあまりなく、特にHAMAサイドの方はよりクローズな団体なのでなかなか珍しい。

昨年HAMAのグローバルカンファレンスで会った面々がそれぞれの国や地域の状況をアップデート、そしてベストプラクティス、取り組みを共有。

ホテルのオーナー・投資家サイドにいた身からするとあまり自覚がなかったけれど、数でいうと圧倒的に「オーナー・投資家ではないグループ」、例えばオペレーションに従事する面々が多く、オーナー・投資家はマイナーな存在なんだな、と。いままでの資本主義では大きな顔をしていた(失礼!)側が、今回のイベントでは何となく存在感が薄かった。。。

このあたりはまた改めて書いてみよう。



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