抽選で当たりが出るまでに必要な参加回数の期待値


問題設定

$${n}$$個の球が入っている抽選器があり、その球のうち$${m}$$個は当たりである($${n\geqq m}$$)。1回の参加あたり1個の球が出てくるまで抽選器を回すことができる。取り出した球はもとに戻さないものとする。どの球も取り出される確率が同様に確からしいとすると、当たりが1個出るまでに参加することになる抽選の回数の期待値はいくつであろうか。


計算

$${m=2,3}$$で実験すると$${\frac{n+1}{m+1}}$$になりそうと予想がつく。
参加回数を確率変数$${X}$$とおくと、

ⅰ) $${n=m}$$のとき、$${E_{n=m}[X]=1=\frac{n+1}{m+1}}$$となる

ⅱ) $${n=l\geqq m}$$のとき、$${E_{n=l}[X]=\frac{n+1}{m+1}}$$が成立すると仮定する
$${n=l+1}$$の場合を考える。$${X=1}$$の場合とそれ以外に分けて考えると、

$${E_{n=l+1}[X] \\= P_{n=l+1}(X=1)E_{n=l+1}[X|X=1]+P_{n=l+1}(X>1)E_{n=l+1}[X|X>1]\\ = \frac{m}{l+1} \cdot 1+ (1 - \frac{m}{l+1})(1+E_{n=l}[X])\\ = \frac{(l+1)+1}{m+1}\\ (\because 仮定より、E_{n=l}[X]=\frac{l+1}{m+1})}$$

よって、$${n=l+1}$$でも$${E_{n=l+1}[X]=\frac{n+1}{m+1}}$$が成立する

ⅲ)以上より、任意の自然数$${m, n (n\geqq m)}$$について、$${E[X]=\frac{n+1}{m+1}}$$が成立するといえる

補足

今回は一度取り出した球は戻さないという仮定を設定したが、毎回球を戻すと仮定して、それ以外の部分は変えずに考えるとする。参加回数を確率変数$${X}$$とおくと、$${E[X]=\frac{n}{m}}$$となる(幾何分布)。



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