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小人がいたら絶対やらせるアイディア集-音大生を飢えさせる・スノッブSNS


「小人がいれば、やらせるのになぁ」

いつからか、ネタ帳にアイディアをメモする度にそう思うようになった。


ありがたいことに、それなりに多忙な日々を送っている。セミリタイア同然だった昨年に比べて、今年は驚くほどたくさんの仕事をやることになった。

世間から求められるのは嬉しいことでもあるが、主観的な幸福度は昨年よりもやや下がったような気がする。人生は難しい。不合理な何かに駆り立てられながら、喫緊のタスクを消化している。


さて、そういう日々なので、「いつかヒマになったらやろう」とネタ帳にメモしたアイディアは着手されることもなく、ひたすらに積み重なっていくばかりである。

「僕が寝ている間にアイディアを実現してくれる小人がいればいいのに」といつも思うけれど、そんな都合の良い話はない。僕たちは与えられた24時間をどうにか活用するしかないし、着手するものは取捨選択するしかない。

したがって、どうしてもやりたい直近のタスク以外は全て「小人にやらせるタスク」としてネタ帳に溜まっていく。このままだとドンドン積もって押し固められて、地層になってしまいそうだ。結局死ぬまで日の目を見ることはないだろう。

中には、我ながら結構イケてる(気がする)アイディアもあるので、今日はそれを公開しようと思う。小人に実行させることはできないものの、せめて読み物として昇華しようという魂胆だ。お付き合いいただきたい。

なお、途中から唐突に有料になるが、例のごとく単品購入(300円)よりも定期購読(500円/月)がオススメだ。いつ入っても今月書かれた記事は全部読める。10月は4本更新なので、バラバラに買うより2.4倍お得。


テストで合格した人しかアカウントを作れないSNS「スノッブ」

3年くらい前から「いつか作ろう」と思い続けて全く着手していないサービス。工数がかかる割に明らかに儲からないので、どうしても着手できない。作ったら面白いとは思うのだけれど。

着想としては、「Twitterからバカがいなくなれば快適なはず」だ。毎日飛んでくるクソリプや見当違いのアドバイス、質の悪い情報……そういうものが駆逐されるにはどうすればいいか。参加者を厳選すればいい。大学とかと同じ思想だ。


ということで、アカウントを作るためにはテストをパスしなければいけないようにしよう。一次試験と二次試験を用意する。

一次試験は、振り落とすための選択問題だ。ブラウザに表示される一般常識問題を解かせる。四択とかでいいだろう。ある程度の点数を取れた人だけが、二次試験に進める。

二次試験は論述式だ。なるべく自由に書けるテーマがいいだろう。「コンビニエンスストアについて、あなたの好きな学問を自由に絡めて考察しなさい。3000文字以上2万文字以内」みたいな。

一次試験の採点は自動。二次試験の採点は、既にアカウントを持っている人たちがやる。採点者が論述を採点しているうちに「こいつ面白いな」となったら、アカウント作成後にすぐ交流できる。合理的な仕組みだと思う。


問題は、マジで儲からなさそうということだ。SNSの収益は基本的にはユーザー数に比例するので、間口を狭くするのはビジネス的には絶対正しくない。

しかし、これはかなり気に入ってるアイディアなので、死ぬまでには作りたいと思っている。巨万の富を得てお金のことを考えなくてよくなったら作ろう。いつのことになるのやら。

ちなみに、アイディアの源泉は「ボヘミアンクラブ」(アメリカの伝統的な完全招待制の社交クラブ。大物文化人などが多数加入)である。オープンなインターネットにもこういう場所を作りたいと思った。小人に作ってほしい。


フォントの力に頼る小説

一時期、デザインの勉強をしている時に、フォント収集にハマった。

有料・無料合わせて300種類くらいの日本語フォントをかき集めて感じたことが、「せっかくこんなに集めたのに、ほとんど使わないじゃん」だった。

汎用性が高いフォントは20種類くらいしかなく、ほぼこの20種類だけで普段の需要を完全にまかなえてしまう。

しかし、せっかく300種類も日本語フォントがあるのだから、一気にフル活用したいところだ。

そこで小説である。普段のグラフィックデザインだと扱う文字はせいぜい500文字とかだと思うが、小説なら10万文字くらいでも全然おかしくない。それなら、300種類のフォントを一度に全部使える可能性がある。


小説に300種類のフォントを活用すれば臨場感が出るんじゃないだろうか。各キャラクターのセリフに固有のフォントが割り当てられるのはもちろん、食事シーンには美味しそうなフォントを、爆発シーンには飛び散ったようなフォントを当てる。

恐らく可読性は非常に悪くなるのだが、フォントが持つ臨場感はそれを上回る便益になるかもしれない。「読書」というユーザー体験を問い直す現代アートでもある。


ちなみにタイトルは「FONTaine」である。「フォント」とフランス語の「フォンテーヌ(噴水)」をかけた名称だ。フォントが噴水のように湧き出る小説だから。

作業手順としては、「収集したフォントを一覧にして、そこから逆算して小説を書こう。フォントを使い切れるように」と決めた。しかしその作業がめんどくさすぎて着手しないまま2年が経った。小人の出現が待たれる。


無の発信者がファンを買うWEBサイト

「YouTubeはもはや総視聴時間よりもアップロードされる動画の総時間の方が長いらしい」という話をどこかで聞いた。つまり、「作り手が多すぎて飽和しており、見る人が枯渇している」のだ。

YouTubeの動画時間の話は眉唾というか、サスガにウソだろという気がするが、「ファンが枯渇している問題」はたしかにある。

ファンが一人もいない作り手」はたくさんいる。このマガジンでも過去に散々見てきた通りだ。


しかしまあ、これはもしかしたらビジネスチャンスなのかもしれない。

無の発信者は切実にファンを求めており、彼らはファンがいないことに痛みを感じている。古今東西、痛みを解消するのはビジネスになる。

「月額5000円でファンを1人買えます」ということにしたらどうだろう。ファンを買うと、ちゃんとリプライやDMで感想が送られてくる。「今日のハラスメントについてのブログ、めちゃくちゃおもしろかったです!私も昔職場の先輩に同じようなことされたので、共感しました!」みたいな。


これ、実質キャバクラである。話を聞いてもらって褒めてもらうことに対して、客はお金を払うワケだ。

……ということは、もしかしたら「カリスマ嬢」ならぬ「カリスマファン」が生まれるかもしれない。

魅力的な振る舞いで、いつも芯を食った嬉しい感想をくれて、発信者をとりこにしてしまう、そんなファンが生まれるかもしれない。

となると、「指名」システムがあった方がいいかもしれない。「この人にファンになってほしい!」と発信者が夢中でオファーする。発信者がファンの熱狂的なファンになってしまうという逆転現象。おもしろいアイロニーだ。

落語みたいな面白さがあるので、このサイトもいつか作りたい。小人に頑張ってほしい。


インテリハライチ


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