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創作と人生の相性の悪さ。リンゴォ・ロードアゲインの最期が好きだ。

創作と人生は相性が悪い

最近はよく、そんなことを考えている。


そしてその度に、リンゴォ・ロードアゲインのセリフを思い出す。

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『STEEL BALL RUN』8巻 より引用)


品行方正を要求する『社会的な価値観』と、野望のために人を殺してでも前に進もうとする『男の価値』の対立を指摘するセリフだ。

『社会的な価値観』がある。そして『男の価値』がある。
昔は一致していたが、その「2つ」は現代では必ずしも一致はしてない。
「男」と「社会」はかなりズレた価値観になっている……
だが「真の勝利への道」には『男の価値』が必要だ…


最初は『社会的な価値観』の住人だった主人公はリンゴォ・ロードアゲインを殺すことによって『男の価値』を獲得する。死ぬ間際のリンゴォ・ロードアゲインはこの一言を残す。

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『STEEL BALL RUN』8巻 より引用)

せめぎ合う2つの価値観の中から主人公は『男の価値』を選び取り殺す。同じく『男の価値』を信じていたリンゴォ・ロードアゲインは誇らしげに死んでいく。殺した者と死にゆく者、両者の価値観が交わる美しいシーンだ。

『ジョジョの奇妙な冒険』シリーズは名シーンだらけだが、僕はこのリンゴォ・ロードアゲインの最期が一番好きかもしれない。


一致していない価値観だらけ

長く生きれば生きるほど、「一致していない2つの価値観」があちこちで目につくようになる。世の中はズレばかりだ。

それは必ずしも悪いことではないし、むしろ良いことなのだと思う。ズレを内包して進むことができるのが、健全な社会だ。価値観を統一しようとする社会はナチスドイツであり、全体主義と呼ばれるのだから。


僕たちは数多ある価値観の中を揺れ動きながら、価値観をどうにか統合して、目の前の選択をこなさなければいけない。

次の週末、立て込んだ仕事を片付けるために休日出勤をするのか、子どもとの約束を守るために遊園地に行くのか、『会社員の価値観』と『父親の価値観』は一致しない。今回はどちらの価値観を重視するのか、いつも選択を迫られている。人生は大変だ。


僕は会社員でもないし父親でもないからその選択とは無縁なのだけれど、代わりに『人間の価値観』と『創作者の価値観』のどちらを重視するのか、いつも選択を迫られている。

人間としては自分のイベントに来てくれた客の悪口を書くべきではないが、創作者としては面白いから書いた方がいい、というジレンマだ。

ジレンマの末にどちらを選択することが多いか、このマガジン読者の皆さんならばよくご存知だろう。僕は『人間の価値観』を諦めることが多い

このマガジンはいつもリンゴォ・ロードアゲインを殺す気持ちで書いているので、皆さんは「ようこそ、男の世界へ……」と言いながら読んでもらえれば幸いだ。


人間の価値観を諦めた話

そういうことで、僕は日常的に人間失格っぽい生活を送っているのだけれど、今日書きたいのもそういう話だ。

人間の価値観と創作者の価値観がぶつかって葛藤したが、結局は創作者の価値観が勝った、という思い出話をしたい。


例のごとく、『人間の価値観』で言うと書くべきでない話を実名付きで書くので、以下有料になる。300円で人間性を売り渡していると考えると我ながらゾッとするが、とにかくそういうことだ。読みたい人は課金して読んで欲しい。

単品購入(300円)もできるが、定期購読(500円/月)がオススメだ。定期購読をいつ始めても、今月書かれた記事は全部読める。3月は5本更新なのでバラバラに買うより3倍オトク。


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