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金を取ることへの若き葛藤-自営業者が持つべきアリストテレスの世界観について。


大学卒業後になんとなく就職しそびれてなんとなく無職になってしまった23歳の若者に、なんとなく仕事をあげている。


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たゐき ゐけだTwitter


僕も昔はなんとなく就職しそびれてなんとなく無職になったので、他人事とは思えない。無職は無職をかわいがり、また無職が集まってくる。いわゆる無職の螺旋である。(そんな言葉はない)


僕は彼と毎週ミーティングやらランチやらをしつつ、偉そうに講釈を垂れてみたり、逆に彼の話を聞いて勉強になったり、そのような日々を繰り返している。ギャップがある人と話すのは楽しいので、6個くらい歳が離れている彼と話すのは良い。(職に就いている人間と話した方が良い気もする


彼のことをいつも「たいきくん」と呼んでいるので、この記事でもそう呼ぼうと思う。正しい表記は「たゐき」らしいが、変換がめんどくさすぎるので無視する。ややこしい名前を使うとみんなからめんどくさがられるので、ややこしい名前は使わない方が良い。


たいきくんは先日、僕の家でボードゲーム会をやっていた。

僕は家を提供しただけのいち参加者として遊んでいたので、たいへん気楽で楽しかった。自分がホストのイベントだとめちゃくちゃ気を遣うから、たまにはこういうのも悪くない。

なぜか参加者がみんな日本酒を持ってきてしまい、我が家の日本酒ストックが8リットルになるという予想外の事件もあったが、とにかく気楽で楽しかった。


さて、ボードゲームでしばらく遊び倒した後、参加者は全員帰り、僕は酔っ払いながら部屋の掃除をしていた。「楽しかったな~。あと、日本酒だけを飲み続けるのはめっちゃキツかったな~」と思いながら。


すると、グラスを洗いながら、たゐきくんが言った。

「なんか罪悪感がすごいです……」

どうしたのだろうか。参加者が持ち込んだボードゲームの一部を壊したのにこっそり返してごまかしたとかそういうことだろうか。


事情を聞いてみると、違った。彼の主張はこうだった。

・3時間で1人2000円という参加費を取ってしまった。これは割高だ。

・世間的にしばしば行われる「公共施設を貸し切ってやるボードゲーム会」は丸一日で500円~1000円(場所代や飲み物代など実費のみ徴収)が多い。

・今回は場所代もかかっていない(僕が彼に家を無償提供したので)

・そして、普通にみんなでボードゲームで遊んだだけで、自分は特別な価値提供をしたワケでもない。

・大して良いサービスを提供しているワケでもないのに、割高な料金を取り、利ざやを自分のポケットに入れるのは心苦しい。


なるほど。マジメで朴訥な彼らしい悩みである。

「かわいい悩みだなぁ」と思いつつ、「そういえば僕にもそんな時期があったな」と過去を振り返ることになった。


自営業者が開き直るということ

大学生3年生の時、小さなイベント団体を作って、毎月のようにふざけたイベントをやった。この時、詐欺師のおじさんにお金をもらう珍しい経験もした。

大学卒業後も3年間、「ふざけたイベント」は僕の主要な収入源のひとつであり続けた。

在学中から卒業後にかけての5年間でやってきたイベントは、100個近いだろう。100人以上集まる大きいものもあれば、定員が8名のミニマムなものもあった。


5年もやっていれば、人は成熟していく。スキルはもちろんのこと、マインドにおいても。


最初は、たしかに僕も彼のように悩んでいた。「大したものを提供できていないのに、お金を取っていいのだろうか…?」と。

お客さんが楽しんでくれるか、常に不安だったし、終わった後は「もっと顧客満足度を上げられたんじゃないか」と反省点ばかりが目についた。「こんな完成度でお金を取っていいはずがない」と思ったことは数え切れない。


だけど、何年かするうちに、そんな悩みは跡形もなく吹き飛んだ。

その理由は、直截に言えば、「低品質なサービスで割高な金を取って何が悪い」という開き直りだ。

その話をするためにまず、安居酒屋チェーンへのヘイトについて話そうと思う。


ということで、以下、某安居酒屋チェーンへの文句アコギな某金融商品への文句が入りつつ、「零細自営業者が持っておくべき心構えはガリレオやニュートンではなくアリストテレス」という結論を導く。

気になる方は課金して読んで欲しい。単品購入(300円)もできるが、定期購読(500円/月)がオススメだ。1月は5本更新なのでバラバラに買うより3倍オトク。


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