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バカバカしい世界を突きつけられる映画と、バカバカしくてイヤになる業界慣習。そして、それらに立ち向かうための方法。


映画『Winny』を見た。

革新的なP2Pのファイル共有ソフト「Winny」を開発したプログラマーが、「著作権侵害の幇助をした」という理由で捕まり、長い裁判をする物語。言うまでもなく、実話をもとにしている。

Winny事件は、技術者の視点から考えるとあまりにもヤバい事件なので、大きな注目を集めた。何がヤバいって「ソフトを作っただけの無辜の開発者が捕まる」という異常事態が起きたからだ。

Winnyはファイル共有ソフトなので、それを使ってマンガや音楽のデータを共有することができる。著作権者の許可を得ずに勝手にマンガのデータをアップロードするのはもちろん違法だ。だが言うまでもなく、それはアップロードする人間が悪いのであって、開発者が悪いワケではない

人身事故が起きたら、車の運転手を罰するべきであって、自動車メーカーを罰するべきではない。

包丁で殺人事件が起こったら、刺した人間を罰するべきであって、包丁メーカーを罰するべきではない。

誰でも分かる明々白々の論理だが、なぜかWinnyに関してはこの原則が適用されなかった。Winny開発者の金子は捕まり、起訴され、7年半も裁判で争うことになった。

映画『Winny』はこのバカげた裁判を必死に戦い抜く金子と弁護士たちの物語である。

たいへんおもしろい映画だったのでもっと知りたいなと思い、原作である『Winny 天才プログラマー金子勇との7年半』を読んだ。

こちらも面白かった。著者はこの事件の担当弁護士だ。彼は弁護士としては珍しく技術オタクであり、インターネットに強かった。Winnyの価値を正しく理解している人であり、2ちゃんねらーでもあった。したがって、文体がめちゃくちゃ軽妙だ。アスキーアートを挿入する遊び心もある。


そうして長い第1回公判が終わった。その間、彼はただ眠そうに座っていた。ただ、事実と違う主張を検察がすると、
(ヾノ・∀・`)チャウチャウ
と手を振りながら。

『Winny 天才プログラマー金子勇との7年半』 p.54


文句なしにオススメのおもしろい本だし、ハッピーエンドなのも素晴らしい。最後には弁護側の主張が認められ、「無罪」という最高裁判決が出る……のだけれど、読みながらずっと「バカげているなぁ。この世界、イヤだなぁ」という気持ちにもなる。つい厭世的になってしまう本だ。


このバカバカしい世界がイヤになる

Winny事件の悲惨なところは、「警察は自分の私怨とメンツのために金子を逮捕したフシがある」ということだ。

京都府警がサイバー犯罪対策に力を入れるということで、京都府警サイバー犯罪対策課の前身となる部署を設置したのは1999年のことである。2004年3月には、京都府警のお巡りさんが仕事で利用していたパソコンがコンピュータウイルスに感染して、Winnyネットワークで捜査情報が漏えいする事件があった。サイバー事件対策の先駆者である京都府警は情報漏えいでも先駆者である。

とはいえ、鳴り物入りの部署設置後、泣かず飛ばずであった京都府警サイバー犯罪対策課が、日本で目立った存在であった「金子 勇」という男の立件に目をつけたのは、ある意味必然だったのかもしれない。

『Winny 天才プログラマー金子勇との7年半』 p.9-10


要するに、「京都府警はWinnyで情報漏えいを起こしちゃってたから、Winny開発者を逮捕したかった」という私怨と、「サイバー犯罪対策課は目立った功績がないので、注目度の高い人を捕まえたかった」というメンツによって金子は逮捕された可能性がある。

そうだとすると、なんとバカバカしいことだろうか。我々の行動の正しさは一切関係なく、ただ運が悪ければ突然捕まってしまうということになる。そんな世界、マジメにやってられるか。


僕はバカバカしい世界を受け入れて概ね楽しく生活しているのだが、どうしても時々、このバカバカしい世界がイヤになる瞬間がある。

今日は、最近バカバカしくてイヤになっていることについて書いてみたい。主に、とある業界の意味不明な慣習についてだ。

表立って言うとすごく角が立つというか、絶対に表では言えない話なので、以下有料になる。気になる方は課金して読んでほしい。単品購入(300円)もできるが、定期購読(500円/月)がオススメだ。いつ入っても当月書かれた記事は全部読める。4月は5本更新なのでバラバラに買うよりも3倍オトク。

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それでは早速見ていこう。意味不明な慣習とは、これだ……。


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