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客の要望を無視する英断。良い会社は、客をキレさせる選択ができる。

大人になると、無邪気に怒れなくなるものだ。

子どもの頃、僕は無邪気に怒っていた。自分に害をなす相手がいたら、「こいつはひどいヤツだ!」と怒っていた。

大人になると色々な立場が見えてくるもので、今ではもう無邪気に怒れなくなった。仕事の品質が露骨に下がった取引先があると、「おい、カスみたいなもん納品してくるんじゃねえ」と怒りが湧いてくる。それと同時に、「ああ、エース社員が退職したもんな。しょうがないよな」などとも考える。

結局僕は、怒らずに許す。ただし、「この品質が3ヶ月続くなら打ち切るしかないな」と思いながら。


怒りとは本質的に、子どもの感情なのだ。

相手の事情を思いやったり、今後に向けたアクションを考えたりしていたら、いつの間にか怒りは消えている。大人は、自己本位で非生産的な感情に身を任せていられない。

だから、素直に怒ることは減った。一方、必要に応じて怒りを表明する機会は増えた。揉め事がある度に、僕は「こうやって怒ろう」と考えた上で怒りを表明している。怒りは、損害賠償を引き出すのに必要な武器だ。計算ずくで必要な感情を身にまとっているので、素直な感情が分からなくなった。資本主義に人格を食われた。


最近も、そういう体験があった。「一瞬抱いた怒りがすぐに引っ込み、むしろ感心に変わった」というものだ。

それは、「誰もが知る大企業に、かなり厳しい杓子定規の対応をされた」という類のもので、最初はあまりにもひどい仕打ちだと思った。

だが、少し考えているうちに、とても迫力のある対応だと思い直した。それは「どんなに憎まれても、客の要望に屈しない」という強い覚悟の表れだからだ。


今日はそんな話をしたい。とある大企業が僕に厳しい対応をして、僕は不服なので全力で戦った。要求を通すために烈火のごとく怒っても見せた。でも一切取り合ってもらえなかった。最初はやるせなさと怒りに打ちひしがれたけれど、今はむしろすごいと思っている。そんな話を。

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では早速見ていこう。今回僕が怒ったのは、この件についてだ……。


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