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拝啓、世界を変えたかった僕へ。ダサくてセコい、起業のはなし。

大学生の頃、僕は世界を変えようとしていた。

起業を意識し始めたのは20歳の頃だ。当時、家入一真さんの著書にハマっていて、「俺も会社作って世界を変えたい!声をあげたい!事業を作ることは、社会に一石を投じることなのだ!」みたいになっていた。インフルエンサーの影響を露骨に受ける困ったタイプの学生である。



家入さんから受けた思想的影響の大きさは計り知れない。「やさしい世界を作るべきだ!」とか「逃げ場所がある社会が健全だ!」とか、受け売りの言葉をそのまま繰り返していた。自分の頭で考えることもしないで。


そんな痛々しい大学生だった僕は6年後、家入さんに事業売却することになる。僕が作った月額会員制村作りサービスは、家入さんの会社が買ってくれた

当時の僕が聞いたら泣いて喜ぶだろう。「家入さんを相手にM&Aを決めた」なんて、まさに当時の僕が目指していたキラキラ起業家界隈エピソードに他ならない。

だけど、実態はキラキラ起業家エピソードから程遠い。

事業売却というと聞こえは良いけれど、失敗した起業の残骸を投げ売りしただけである。事業自体に価値はまったくなく、値札がついたのは、わずかな動産・不動産だ。

売却金額は120万円。当時の僕にとってはそれなりの金額だったけれど、一般の起業家・投資家から見ればはした金である。家入さんは明らかに衝動買いでお金を出していた。コンビニで、レジの横にあるガムを買ってしまうみたいに。


村は廃れていったし、世界は変わらなかった

村を家入さんに売却してからもう4年になる。

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