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良いとこなしのコンコルド先輩、反実仮想に縋る教師。スラム中学の思い出覚え書き


北海道札幌市の豊平区という自治体で育った。札幌のド真ん中から自転車で20分、地下鉄で2駅。お世辞にも上品とは言い難いエリアだ。当然の帰結として、お世辞にも上品とは言い難い人間に育ってしまった。来世は田園調布に生まれたい。

上品ではないエリアの思い出はたくさんある。中学生の頃は地元の古本屋に入り浸っていたのだが、横で立ち読みしてたオッサンが「かーっ、ペッ」と店内の床にタンを吐いた時、「あれ、僕の地元、ひょっとしてスラム?」と思った。自分が生まれ育った場所がスラムだと気づく瞬間はちょっとしたカタルシスがある。


古本屋だけではない、通っていた公立中学も負けず劣らずのスラム中学であった。何しろGoogleで学校名を検索しようとすると錚々たる検索候補が並ぶのだ。


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ポジティブな検索ワードが1つもない。検索ニーズの全てが悪評。学校の評判とは思えない「殺人」だの「心霊」だのが踊っている。我が母校ながら「お前、インターネットの嫌われ者かよ」という気持ちが溢れて来る。

「こんなに悪評だらけの検索ワード、他にあるかなぁ?」と思って調べてみた。


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よくインターネットで怒られが発生している「はあちゅう」氏の名前を入力してみるが、なんとネガティブな候補は1つもなかった。マジかよ。僕の母校、はあちゅう氏より嫌われてんの???



さすがにこのままでは引き下がれないので、もう一人試してみる。

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「ゆたぼん」で試してみたが、やはりネガティブな候補は1つもなかった。ネガティブな検索ワードよりも「父親」とか「youtube」が上に来てしまうらしい。

悪評のみが並ぶ僕の母校とは比べ物にならないほど健全な検索候補である。


僕の母校、ゆたぼん以下か……。


「中学校に行かない宣言をしている少年に、自分の中学校が評判で負けている」という事実はいささか胸を打つものがあるが、現実は受け入れるしかない。僕の母校はスラム中学であり、ゆたぼん以下なのである。


というか、両親のおおらかさに驚くばかりだ。僕が親なら検索候補の1番目が「殺人」で2番目が「心霊」のゆたぼん未満校に一人息子を通わせたくないのだけれど、彼らはあまり気にしなかったらしい。豪放磊落といった趣がある。

そんな豪放磊落な両親の教育方針の下、スラム中学に3年間通った。欠席もほとんどせず、スラム中学を満喫した自負がある。

だから、今日はスラム中学の思い出について書いてみたい。


局部を露出するコンコルド先輩

よく憶えているのが、中学一年生の春、部活見学をして回った時のことだ。

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